隠修士と巡礼者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/29 21:05 UTC 版)
「隠修士」のパネル。 「巡礼者」のパネル。 「神秘の子羊の礼拝」のパネルの右には隠修士たちと巡礼者たちが描かれている。「隠修士」のパネルで隠修士たちを率いているのは、キリスト教の最初の隠修士テーベの聖パウロ、教会博士パドヴァの聖アントニウス、修道制度の創始者ヌルシアの聖ベネディクトゥスとされている。隠修士のパネルには背景の岩に隠れるようにして、香油壺を手にしたマグダラの聖マリアとエジプトの聖マリアが、救済の象徴として描かれている。 「巡礼者」のパネルに描かれている巡礼者のなかで一際大きな巨人は、旅人の守護聖人の聖クリストフォロスである。クリストフォロスのすぐ背後の巡礼者は、三大巡礼地の一つサンティアゴ・デ・コンポステーラに墓があると信じられていた聖ヤコブで、自身の象徴である貝をつけた帽子を被っている。この2枚のパネルは、一箇所に留まって瞑想的生活を送る隠修士と各地を精力的に旅する巡礼者という静と動の宗教活動が対比された構成となっている。 中央パネルに比べると左右4枚のパネルは縦に10 cm程度長く、このことが美術史家たちを数世紀にわたって悩ませてきた。フーベルトの未完の作品群をヤンが完成させて『ヘントの祭壇画』として組上げたためであるという説や、もともと大きかった中央パネルが過去のどこかの時点で切り詰められたという説など、さまざまな説がある。ただし、切り詰められたという説は、現代の詳細な分析の結果否定されている。
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