間隙と連続性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 10:26 UTC 版)
実数全体の成す集合の場合と対照的に、超現実数からなる(真)部分集合は(それが極大元あるいは極小元を持つのでない限り)上限あるいは下限を持たない。Conway (1976) は間隙 (gap) を {L | R} (L < R, L ∪ R = 𝐍𝐨) で定義する(この場合、L, R のどちらかは真のクラスにならないといけないから、これは超現実数を定めるものではないことに注意する)。この間隙はデデキントの切断に似ていて、とはいえ全く同じものと考えるわけにはいかないのだけれども、それでもなお超現実数体の自然な順序に関する完備化 𝐍𝐨𝕯 について考えることができ、これは(真クラスサイズを持つ)線型連続体になる。 実例として、最小の無限大超現実数は存在しないが、間隙 ∞ := {x: ∃n ∈ ℕ[x < n] | x: ∀n ∈ ℕ[x > n]} は任意の実数より大きく、任意の正の無限大超現実数より小さい。だからこれは、実数全体の成す集合の 𝐍𝐨𝕯 における上限である。同様に、間隙 𝐎𝐧 := {𝐍𝐨 | } は任意の超現実数よりも大きい(𝐎𝐧 は順序数全体の成すクラスの名前でもあるが、𝐎𝐧 は 𝐍𝐨 において共終(英語版)であるから、𝐎𝐧 := {𝐎𝐧 | } もそうで、これは順序数 α が α より小さい順序数全体の成す集合と同値であるという事実を拡張するものである)。 ちょっとした集合論的注意を加えて、𝐍𝐨 にはその開集合全体の(真の集合で添字付けられた)合併が開区間となるような位相をいれることができ、その位相に関する連続函数を定義することができる。コーシー列の同値性も(コーシー列が順序数全体の成すクラスによって添字付けられる必要があるけれども)定義できる。これらコーシー列は常に収束するけれども、その極限は超現実数かもしれないし ∑α∈𝐍𝐨rα⋅ωaα(ただし aα は単調減少で 𝐍𝐨 において下限を持たない)で表される間隙となるかもしれない(そのような間隙はコーシー列自身として理解することができるが、上で見た ∞ や 𝐎𝐧 のようなコーシー列の極限とは別の種類の間隙も存在する)。
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