配当 (破産)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/20 16:21 UTC 版)
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破産手続において配当(はいとう)とは、破産財団を換価して得られた金銭を、破産債権者に、その債権の額に応じて分配することをいう。
- *破産手続についての詳細は、破産を参照。
目次
配当の順位等
- 配当の順位は、破産債権間においては次に掲げる順位に、第1号の優先的破産債権間においては民法、商法、その他の法律に規定する優先順位による(破産法第194条第1項)。
- 優先的破産債権
- 一般の破産債権(第1号、第3号及び第4号に掲げるもの以外の破産債権)
- 劣後的破産債権
- 約定劣後破産債権
- 同一順位において配当をすべき破産債権については、それぞれその債権の額の割合に応じて、配当をする(破産法第194条第2項)。
最後配当
(最後配当)
- 破産管財人は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後であって破産財団に属する財産の換価の終了後においては、第217条第1項に規定する場合(破産手続廃止)を除き、遅滞なく、届出をした破産債権者に対し、この節の規定による配当(以下この章及び次章において「最後配当」という。)をしなければならない(破産法第195条第1項)。
- 破産管財人は、最後配当をするには、裁判所書記官の許可を得なければならない(破産法第195条第2項)。
- 裁判所は、破産管財人の意見を聴いて、あらかじめ、最後配当をすべき時期を定めることができる(破産法第195条第3項)。
配当表
- 破産管財人は、裁判所書記官の最後配当の許可があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した配当表を作成し、これを裁判所に提出しなければならない(破産法第196条第1項)。
- 最後配当の手続に参加することができる破産債権者の氏名又は名称及び住所
- 最後配当の手続に参加することができる債権の額
- 最後配当をすることができる金額
- 最後配当の手続に参加することができる債権の額は、優先的破産債権、劣後的破産債権及び約定劣後破産債権をそれぞれ他の破産債権(一般の破産債権)と区分し、優先的破産債権については第98条第2項に規定する優先順位に従い、これを記載しなければならない(破産法第196条第2項)。
- 破産管財人は、別除権に係る根抵当権によって担保される破産債権については、当該破産債権を有する破産債権者が、破産管財人に対し、当該根抵当権の行使によって弁済を受けることができない債権の額を証明しない場合においても、これを配当表に記載しなければならない。この場合においては、前条第2項の規定による許可があった日における当該破産債権のうち極度額を超える部分の額を最後配当の手続に参加することができる債権の額とする(破産法第196条第3項)。
- 前項の規定は、第108条第2項に規定する抵当権(根抵当権であるものに限る。)を有する者について準用する(破産法第196条第4項)。
配当の公告等
- 破産管財人は、破産法第196条第1項の規定により配当表を裁判所に提出した後、遅滞なく、最後配当の手続に参加することができる債権の総額及び最後配当をすることができる金額を公告し、又は届出をした破産債権者に通知しなければならない(破産法第197条第1項)。
- 前項の規定による通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす(破産法第197条第2項)。
- 第1項の規定による通知が届出をした各破産債権者に通常到達すべきであった時を経過したときは、破産管財人は、遅滞なく、その旨を裁判所に届け出なければならない(破産法第197条第3項)。
破産債権の除斥
- 異議等のある破産債権(第129条第1項に規定するものを除く。)について最後配当の手続に参加するには、当該異議等のある破産債権を有する破産債権者が、前条第1項の規定による公告が効力を生じた日又は同条第3項の規定による届出があった日から起算して二週間以内に、破産管財人に対し、当該異議等のある破産債権の確定に関する破産債権査定申立てに係る査定の手続、破産債権査定異議の訴えに係る訴訟手続又は第127条第1項の規定による受継があった訴訟手続が係属していることを証明しなければならない(破産法第198条第1項)。
- 停止条件付債権又は将来の請求権である破産債権について最後配当の手続に参加するには、前項に規定する期間(以下「最後配当に関する除斥期間」という。)内にこれを行使することができるに至っていなければならない(破産法第198条第2項)。
- 別除権者は、最後配当の手続に参加するには、次項の場合を除き、最後配当に関する除斥期間内に、破産管財人に対し、当該別除権に係る第65条第2項に規定する担保権によって担保される債権の全部若しくは一部が破産手続開始後に担保されないこととなったことを証明し、又は当該担保権の行使によって弁済を受けることができない債権の額を証明しなければならない(破産法第198条第3項)。
- 第196条第3項前段(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定により配当表に記載された根抵当権によって担保される破産債権については、最後配当に関する除斥期間内に当該担保権の行使によって弁済を受けることができない債権の額の証明がされた場合を除き、同条第3項後段(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定により配当表に記載された最後配当の手続に参加することができる債権の額を当該弁済を受けることができない債権の額とみなす(破産法第198条第4項)。
- 第3項の規定は、準別除権者について準用する(破産法第198条第5項)。
配当表の更正
- 次に掲げる場合には、破産管財人は、直ちに、配当表を更正しなければならない(破産法第199条第1項)。
- 破産債権者表を更正すべき事由が最後配当に関する除斥期間内に生じたとき(破産法第199条第1項第1号)。
- 破産法第198条第1項に規定する事項につき最後配当に関する除斥期間内に証明があったとき(破産法第199条第1項第2号)。
- 破産法第198条第3項に規定する事項につき最後配当に関する除斥期間内に証明があったとき(破産法第199条第1項第3号)。
- 前項第3号の規定は、準別除権者について準用する(破産法第199条第2項)。
配当表に対する異議
- 届出をした破産債権者で配当表の記載に不服があるものは、最後配当に関する除斥期間が経過した後一週間以内に限り、裁判所に対し、異議を申し立てることができる(破産法第200条第1項)。
- 裁判所は、前項の規定による異議の申立てを理由があると認めるときは、破産管財人に対し、配当表の更正を命じなければならない(破産法第200条第2項)。
- 第1項の規定による異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。この場合においては、配当表の更正を命ずる決定に対する即時抗告の期間は、第11条第1項の規定により利害関係人がその裁判書の閲覧を請求することができることとなった日から起算する(破産法第200条第3項)。
- 第1項の規定による異議の申立てを却下する裁判及び前項前段の即時抗告についての裁判(配当表の更正を命ずる決定を除く。)があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない(破産法第200条第4項)。
配当額の定め及び通知
- 破産管財人は、破産法第200条第1項に規定する期間が経過した後(同項の規定による異議の申立てがあったときは、当該異議の申立てに係る手続が終了した後)、遅滞なく、最後配当の手続に参加することができる破産債権者に対する配当額を定めなければならない(破産法第201条第1項)。
- 破産管財人は、第70条の規定により寄託した金額で第198条第2項の規定に適合しなかったことにより最後配当の手続に参加することができなかった破産債権者のために寄託したものの配当を、最後配当の一部として他の破産債権者に対してしなければならない(破産法第201条第2項)。
- 解除条件付債権である破産債権について、その条件が最後配当に関する除斥期間内に成就しないときは、第69条の規定により供した担保はその効力を失い、同条の規定により寄託した金額は当該破産債権を有する破産債権者に支払わなければならない(破産法第201条第3項)。
- 第101条第1項の規定により弁済を受けた破産債権者又は第109条に規定する弁済を受けた破産債権者は、他の同順位の破産債権者が自己の受けた弁済と同一の割合の配当を受けるまでは、最後配当を受けることができない(破産法第201条第4項)。
- 第1項の規定により破産債権者に対する配当額を定めた場合において、第111条第1項第4号及び第113条第2項の規定による届出をしなかった破産債権者について、その定めた配当額が同号に規定する最高裁判所規則で定める額に満たないときは、破産管財人は、当該破産債権者以外の他の破産債権者に対して当該配当額の最後配当をしなければならない。この場合においては、当該配当額について、当該他の破産債権者に対する配当額を定めなければならない(破産法第201条第5項)。
- 次項の規定による配当額の通知を発する前に、新たに最後配当に充てることができる財産があるに至ったときは、破産管財人は、遅滞なく、配当表を更正しなければならない(破産法第201条第6項)。
- 破産管財人は、第1項から前項までの規定により定めた配当額を、最後配当の手続に参加することができる破産債権者(第5項の規定により最後配当を受けることができない破産債権者を除く。)に通知しなければならない(破産法第201条第7項)。
配当額の供託
- 破産管財人は、次に掲げる配当額を、これを受けるべき破産債権者のために供託しなければならない(破産法第202条第1項)。
破産管財人に知れていない財団債権者の取扱い
- 第201条第7項の規定による配当額の通知を発した時に破産管財人に知れていない財団債権者は、最後配当をすることができる金額をもって弁済を受けることができない(破産法第203条)。
簡易配当
最後配当の手続は、手間がかかるので、債権者が少ない破産事件などは、本来は最後配当の手続をすべき場合において、この簡易配当の手続で行うことが多い。
- 裁判所書記官は、第195条第1項の規定により最後配当をすることができる場合において、次に掲げるときは、破産管財人の申立てにより、最後配当に代えてこの節の規定による配当(以下「簡易配当」という。)をすることを許可することができる(破産法第204条第1項)。
- 配当をすることができる金額が千万円に満たないと認められるとき(破産法第204条第1項第1号)。
- 裁判所が、第32条第1項の規定により同項第5号に掲げる事項を公告し、かつ、その旨を知れている破産債権者に対し同条第3項第1号の規定により通知した場合において、届出をした破産債権者が同条第1項第5号に規定する時までに異議を述べなかったとき(破産法第204条第1項第2号)。
- 前2号に掲げるもののほか、相当と認められるとき(破産法第204条第1項第3号)。
- 破産管財人は、前項の規定による許可があった場合には、次条において読み替えて準用する第196条第1項の規定により配当表を裁判所に提出した後、遅滞なく、届出をした破産債権者に対する配当見込額を定めて、簡易配当の手続に参加することができる債権の総額、簡易配当をすることができる金額及び当該配当見込額を届出をした破産債権者に通知しなければならない(破産法第204条第2項)。
- 前項の規定による通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす(破産法第204条第3項)。
- 第2項の規定による通知が届出をした各破産債権者に通常到達すべきであった時を経過したときは、破産管財人は、遅滞なく、その旨を裁判所に届け出なければならない(破産法第204条第4項)。
最後配当との相違点
- 除斥期間が2週間から1週間に短縮されている。
- 配当表の記載についての異議の申し立てに対する即時抗告ができない。
- 配当額を定めた場合の債権者への配当額の個別通知が省略され、配当表提出時の配当見込額の通知に限定される。
(簡易配当の許可の取消し)
- 破産管財人は、第204条第1項第3号の規定による許可があった場合において、同条第2項の規定による通知をするときは、同時に、簡易配当をすることにつき異議のある破産債権者は裁判所に対し同条第四項の規定による届出の日から起算して一週間以内に異議を述べるべき旨をも通知しなければならない。この場合において、届出をした破産債権者が同項の規定による届出の日から起算して一週間以内に異議を述べたときは、裁判所書記官は、当該許可を取り消さなければならない(破産法第206条)。
(適用除外)
- 第204条第1項の規定による簡易配当の許可は、第209条第1項に規定する中間配当をした場合は、することができない(破産法第207条)。
同意配当
- 裁判所書記官は、第195条第1項の規定により最後配当をすることができる場合において、破産管財人の申立てがあったときは、最後配当に代えてこの条の規定による配当(以下「同意配当」という。)をすることを許可することができる。この場合において、破産管財人の申立ては、届出をした破産債権者の全員が、破産管財人が定めた配当表、配当額並びに配当の時期及び方法について同意している場合に限り、することができる(破産法第208条第1項)。
- 前項の規定による許可があった場合には、破産管財人は、同項後段の配当表、配当額並びに配当の時期及び方法に従い、同項後段の届出をした破産債権者に対して同意配当をすることができる(破産法第208条第2項)。
- 同意配当については、第196条第1項及び第2項並びに第203条の規定を準用する。この場合において、第196条第1項中「前条第2項の規定による許可があったときは、遅滞なく」とあるのは「あらかじめ」と、第203条中「第201条第7項の規定による配当額の通知を発した時に」とあるのは「第208条第1項の規定による許可があった時に」と読み替えるものとする(破産法第208条第3項)。
中間配当
破産法第209条~第214条
(中間配当)
- 破産管財人は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後であって破産財団に属する財産の換価の終了前において、配当をするのに適当な破産財団に属する金銭があると認めるときは、最後配当に先立って、届出をした破産債権者に対し、この節の規定による配当(以下「中間配当」という。)をすることができる(破産法第209条第1項)。
- 破産管財人は、中間配当をするには、裁判所の許可を得なければならない(破産法第209条第2項)。
追加配当
配当額の通知を発した後等に、新たに配当に充てるべき相当の財産があることが確認されたときは、破産管財人は、裁判所の許可を得て追加配当をなすことを要する。破産終結の決定があった後でも、同様である(破産法第215条1項)。
破産手続終結の決定
- 裁判所は、最後配当、簡易配当又は同意配当が終了した後、第88条第4項の債権者集会が終結したとき、又は第89条第2項に規定する期間が経過したときは、破産手続終結の決定をしなければならない(破産法第220条第1項)。
- 裁判所は、前項の規定により破産手続終結の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない(破産法第220条第2項)。
脚注
「配当 (破産)」の例文・使い方・用例・文例
- 配当を決定する
- 私は、株主資本配当率を参考に、投資する企業を選びます。
- 受取配当金がはじめて1億円に達した。
- 今年は大変利益が上がったので、われわれは株主に特別配当を支給することにした。
- 企業は収入にかかわらず安定した配当を行うために配当平均積立金を設ける。
- 株価は配当落ちが始まった日から下がりはじめ、配当を見込んで上がっていく。
- 配当狙いでその株を保険つなぎした。
- その会社は違法配当と粉飾決算の疑いをかけられている。
- 我が国では、非居住者の株主に対するみなし配当には50%の税金がかかる。
- 創業30周年の記念配当を株主様に還元する事をお知らせします。
- 後配株は利益分配について普通株に劣後する一方、配当利回りは高いことが多い。
- 銀行業では配当異動はみられなかった。
- 現在、配当課税には軽減税率が適用されている。
- 3月は配当取りを目指した株の購入が増える。
- 配当性向は大半の企業で上昇した。
- 通常、配当落ち日は決算日の3営業日前である。
- 有償減資は、将来の配当金を軽減するときに用いられます。
- その会社の株は高配当で人気株となっている。
- 株主優待と配当金は株式投資のあくまでも参考程度に留めておくべきだ。
- 安定した配当
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