配信元の表示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 18:17 UTC 版)
欧米の主要紙の場合、文責を明確にするため配信記事には配信した通信社のクレジットが付されるのが一般的である。これに対して、日本では沖縄県を除き、配信記事であることを示すクレジットを表記することはまれである。その理由は、地方紙の場合クレジットの有無により購買数の増減が顕著に表れてしまう関係でクレジットが外されている場合がある。例えば、共同通信社の定款施行細則第10条によれば、共同通信社が配信した記事を社員(共同通信社は社団法人であるので、社員とは日経などの加盟社を指す)が新聞、有線・無線を通じて供給する場合には、『共同通信』のクレジットをつけないといけません。」と規定がある。しかし、現在の配信記事を提供されている地方紙に至っては、この規定は遵守されていない。それにもかかわらず、配信元のクレジット表記がないため一般読者からするとあたかも配信先が独自に取材・制作した記事に見えてしまう。 これは日本独自の慣行であり、通信社側も黙認していることではあるが、クレジットが本来負っているはずの文責が曖昧となり、問題が生じたとき、たとえば通信社が誤報を配信したときの責任の所在が不明確になるという弊害がある。 2001年に発生した東京女子医大事件で起訴され最終的に無罪となった医師が、当時事件を報道した共同通信社とその記事の配信を受けた地方3紙(秋田魁新報、上毛新聞、静岡新聞)に対する損害賠償請求訴訟で、この文責問題は一躍脚光を浴びることとなった。とくに東京地裁の一審判決では、配信を受けた地方3紙がクレジットを付けず自社記事の体裁を取っていたこともあり賠償責任を認めた。
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