遊々人生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/09 05:13 UTC 版)
ジャンル | ボードゲーム |
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対応機種 | PCエンジン |
開発元 | ハドソン |
発売元 | ハドソン |
プログラマー | 飛田雅宏 |
音楽 | 国本剛章[1] |
人数 | 1 - 5人 |
メディア | 2メガビットHuCARD |
発売日 | 1988年4月22日[2] |
デバイス | マルチタップ対応 |
『遊々人生[注 1]』(ゆうゆうじんせい)は、ハドソンが1988年4月22日に発売したPCエンジン用ボードゲーム。
家庭用ゲーム機初の人生ゲーム[3]。ボードゲームの『人生ゲーム』を題材としているため、タカラのコピーライトが表記されている[4]。
最大5人同時プレイが可能であり、マルチタップにも対応している。対戦相手にコンピュータを加えることもできる。
本作は最初にマルチプレイができたゲームでもあり[5]、高橋名人によるとマルチタップ発売時に遊べるゲームとして候補に挙がっていたという[6]。
ルール
大まかな流れはボードゲームの『人生ゲーム』と同じでルーレットを回してコマを進め、ゴールを目指す。
最初にプレイヤーとコンピュータの割り振り、名前の登録、ルーレットでの順番決め、プレイヤーの顔とコマとなる車の色を決定し、ゲーム開始となる。
所持金2,500ドルでスタートとなる。最初にビジネスコースに行くかプロコースに行くかを決め、自動車保険に入るかを決定する。プロコースを選ぶと学校へ行くことになり、授業料500ドルを払うことになる。
最終的に所持金の最も多いプレイヤーの勝利となり、プレイヤー全員がゴールしてから順位が決定される。
職業
全部で9種類ある。その職業のマスに止まると転職を勧められ、他の職業になることが可能。アイドルスターとアルバイターは自動的に転職コースに進む。プロコースでもサラリーマンになったり、サラリーマンから転職することもできる。
- サラリーマン
- ビジネスコースを選択すると自動的に決定される。給料は8,000ドル。
- 給料は安いが、ラッキーチャンスや株で相場を張るときは、当たると他の職業の1.5 - 2倍の金額がもらえる[7]。
- アナウンサー
- テレビに出てニュースの司会などを行う仕事。給料は20,000ドル。
- 建築家
- ビルなどを建てる仕事。給料は12,000ドル。
- 医者
- 手術などを行う仕事。給料は25,000ドル。
- 先生
- 学校の先生。給料は10,000ドル。
- デザイナー
- グラフィックデザイナー。給料は15,000ドル。
- パイロット
- 飛行機で世界をかけ回る仕事。給料は30,000ドル。
- アイドルスター
- 歌って踊れるアイドルタレント。給料は10,000×ルーレットの数(8、9、10は給料なし)。
- 給料は0 - 70,000ドルとばらつきが多いが、平均は28,000ドルと高い[7]。
- アルバイター
- プロコースで最後まで職業が決まらないとアルバイターになる。給料は1,000×ルーレットの数(8、9、10は給料なし)。
マス
止まったマスによって様々なイベントが発生する。
- 遺産
- 空から遺産が降ってきて180,000ドルもらえる。
- 台風
- 台風で全財産を吹き飛ばされ、スタートへ戻る。
- 給料日
- 全員止まるマス。職業に応じた額の給料がもらえる。アイドルスターとアルバイターはルーレットを回す。
- 株
- 2回目の給料日で株を買うことができる。3回買うチャンスがあり、損をすることもあるが大金を得ることの方が多い[7]。
- 結婚
- 全員から結婚を祝ってもらえる。ルーレットを回して1、2、3だと1,000ドル、4、5、6だと500ドルもらえ、7、8、9、10だともらえない。
- ハネムーン
- 休日を過ごして1,500ドル払う。
- マイホーム
- 全員が通過するイベント。マイホームを買って20,000ドル払う。
- 火災保険
- 5,000ドル払って火災保険に入る。家が火事になったときに50,000ドル払うだけで済む。
- 転職
- 職業を変更できるマス。途中で2回チャンスがある。
- ラッキーチャンス
- カケをするか10,000ドルもらうかを選べる。カケに当たると100,000ドルもらえ(サラリーマンは1.5倍)、外れると10,000ドル払うことになる。
- 仕返し
- プレイヤーのうち誰かから100,000ドルもらうか、誰かを15マス戻す。
- 1回休み
- ケガをして救急車に運ばれ、1回休み。
- 出産
- 子供が生まれ、全員からお祝いとして500ドルもらえる(双子なら1,000ドル)。子供が生まれていたら海外旅行を回避することができる。
- 賞金
- カラオケ大会でグランプリをとって5,000ドルもらう、趣味で書いた小説がミステリー大賞をとり60,000ドルもらう、宝クジが当たって100,000もらうなどのイベントが起こる。
- 災害
- 大地震が起き、前後10マス以内にいるプレイヤーの財産が半分になる。
- ???
- エイリアンに会って思わず食事に誘い1,000ドル払う、エジプトに関心がわいて思わずミイラのコレクションをして1,000ドル払う、戦争に備えてシェルターを作り20,000ドル払うなど、変わり種のイベントが起こる。
- 橋
- 橋を初めて渡ったプレイヤーは通行権をもらえ、後から橋を渡るプレイヤーから2,000ドルもらえる。
- 配当
- 株が上昇し、株券1枚当たり120,000ドルになる。
- 一攫千金
- 定年直前にあるマス。庭から噴き出した温泉の権利を売り200,000ドルもらう。
- 高額出費
- 海外旅行で140,000ドル、無人島を買って250,000ドル払うなど高額出費することになる。
- 定年
- ここで決算が行われ、子供1人あたり30,000ドルもらえ、約束手形1枚に対し25,000ドル払う。そして、人生最大のカケをするか決める。
- 人生最大のカケ
- ゴール直前にある一発逆転のイベント。ルーレットの1か所に全財産を賭け、当たると500,000ドルもらえるが、外れると全財産を失い開拓地へ行かなければならない。
- 人生最大のカケに成功したプレイヤーや、行わなかったプレイヤーはそのまま進めるが、失敗して開拓地へ行ったプレイヤーはゲーム終了までそこから出ることはできず、一生開拓地働きになる。
- ゴール
- 1位でゴールしたプレイヤーは100,000ドル、2位は80,000ドル、以下20,000ドルずつの差のボーナスをもらえる。それと同時に株券1枚につき50,000ドル、生命保険は3,000ドルもらえる。
隠しゲーム
持ち金表示画面でコマンドを入力すると、ハドソンが1983年に発売したパソコンゲーム『キャノンボール』[8]をアレンジしたミニゲームがプレイできる。
開発
本作のメインプログラマーは、『桃太郎伝説』や『桃太郎電鉄』でもチーフプログラマーを務めた飛田雅宏[9]。飛田は「実際のボードゲームの面倒な部分をコンピュータに肩代わりさせてゲームを楽しむことを狙った。ただし、コンピュータが自動でやるとテンポが速くなりすぎるため、場を盛り上げるための工夫に苦労した」と語っている[9]。
テレビCMには宣伝スタッフの一人でもある高橋名人が出演しており、逗子アリーナの近くで撮影が行われた[4]。
スタッフ
- メインプログラマー:飛田雅宏
- プログラマー:チャーリー なかた(中田伸一)、田中裕二
- サウンドプログラマー:スマイル たきもと(滝本利昭)
- デザイナー:及川泰恵、鈴木民人、たかおか こあら(高岡史江)、ビクトリー アズマ(東明彦)、山口もと
- BGデザイナー:げいりー ふじもと(藤本佳代)
- チーフデザイナー:佐藤裕
- スプライトデザイナー:武田真理
脚注
注釈
- ^ パッケージの表記は『遊々人生』だが、ゲーム内のタイトル画面では『遊遊人生』と表記されている。
出典
- ^ “Profile”. キノコ国本剛章 HP. 2025年5月3日閲覧。
- ^ “遊々人生 (PCエンジン)の関連情報”. ファミ通.com (2018年4月29日). 2025年5月3日閲覧。
- ^ “家庭用ゲーム機初の人生ゲーム『遊々人生』で対決! 番組開始は7月12日21時から”. 電撃オンライン (2019年7月11日). 2025年5月3日閲覧。
- ^ a b “今日はいろいろ誕生日ですが「遊々人生」を”. 高橋名人オフィシャルブログ「16連射のつぶやき」 (2025年4月22日). 2025年5月3日閲覧。
- ^ “ジョイタップ3”. 高橋名人オフィシャルブログ「16連射のつぶやき」 (2020年1月24日). 2025年5月3日閲覧。
- ^ “今日はPCエンジン版「遊々人生」の誕生日”. 高橋名人オフィシャルブログ「16連射のつぶやき」 (2024年4月22日). 2025年5月3日閲覧。
- ^ a b c 『PC Engine HEシステムのすべて』電波新聞社、1988年5月25日、181-182頁。
- ^ “90年代にゲームセンターで見かけた、あのゲームの元祖がここに『キャノンボール』~”. AKIBA PC Hotline! (2019年10月8日). 2025年5月3日閲覧。
- ^ a b 『PCエンジン 秘密のマニュアル』祥伝社、1988年9月15日、120-126頁。ISBN 4-396-62010-1。
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