連成項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:37 UTC 版)
「線形多自由度系の振動」の記事における「連成項」の解説
自動車の上下振動とピッチング振動の簡易モデルである式2.7において、もし k1l1 = k2l2 であれば、x と θ は互いに独立した運動方程式となる。この条件では運動方程式は { m x ¨ + ( k 1 + k 2 ) x = 0 I G θ ¨ + ( k 2 l 2 2 + k 1 l 1 2 ) θ = 0 {\displaystyle {\begin{cases}m{\ddot {x}}+(k_{1}+k_{2})x=0\\I_{G}{\ddot {\theta }}+(k_{2}l_{2}^{2}+k_{1}l_{1}^{2})\theta =0\end{cases}}} (2.8) となり、2つの式はそれぞれ単独で解くことができる。すなわち、x の振動と θ の振動が、互いに干渉すること無しに独立して起こる状態になっている。このような状態を非連成という。運動方程式が単独では解けない連立方程式になっているとき、方程式は連成しているといい、式2.7の (k1l1 − k2l2)x と (k1l1 − k2l2)θ は連成項と呼ばれる。k1l1 = k2l2 のときに、これら連成項が 0 になり、x と θ が独立した運動になる。連成状態にある系を連成系、逆に各自由度の運動が完全に独立している系を非連成系と呼ぶ。 一般に、質量行列 M(式2.2)、減衰行列 C(式2.3)、剛性行列 K(式2.4)における非対角成分の存在は、振動が連成していることを示している。もし系が非連成系であれば、これら全ての行列は、非対角成分が全て 0 の対角行列となる。特に、質量行列が非対角成分によって振動が連成していることを動連成や動的連成といい、質量行列の非対角成分を動連成項という。また、剛性行列が非対角行列であれば静連成や静的連成といい、剛性行列の非対角成分を静連成項という。多自由度系の問題は概して複雑で、個々のパラメータが結果に与える影響の見通しを立てることが難しい。多自由度系では一般的に連成が存在し、これが多自由度系の解析を難しいものにしている。動力学的な設計を行う上では、系を非連成化して影響をわかりやすくすることが有効となる。
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