近親相姦のモチーフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 14:59 UTC 版)
「ワルキューレ (楽劇)」の記事における「近親相姦のモチーフ」の解説
『ヴァルキューレ』において、双子の兄妹ジークムントとジークリンデの近親相姦が物語のひとつの焦点となっている。このモチーフは、後述するように、後の文学作品に影響を与えた。 近親相姦は獣性への逆戻りを示唆し、近代社会はもとより、未開社会でもタブーとされてきた。しかし神話においては、例えばエジプト神話のオシリスとイシスは母親の胎内で交わったとされ、神々のみはこれを許されている。ギリシア神話の最高神ゼウスと妃ヘーラーもまた姉弟にして夫婦である。ヴォータンは「遠大な構想」に基づき、このいわば「神話的特権」をジークムントとジークリンデの二人に認めることで、「選ばれた英雄」の貴種的性格を高め、さらにジークムントにフンディングを返り討ちさせることで、英雄としての最初の試練を乗り越えさせる意図があったと見られる。ブリュンヒルデは、そのための介添え役でもあった。 近親相姦のモチーフは、『ヴァルキューレ』につづく『ジークフリート』においても、ジークフリートとブリュンヒルデ(甥と伯母)の関係として明確に現れる。また、直接的ではないが、心理的な側面では、孫のジークフリートを介した形でヴォータンとブリュンヒルデとの関係にも色濃く認められる。『ヴァルキューレ』第2幕のト書きには、父娘のほとんど性的な親密さが暗示されている。
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