身体的接触の要否
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 01:02 UTC 版)
有形力の行使が被害者の身体に現実に接触する必要があるのかどうかという点も問題となる。例えば、人を狙って石を投げたがたまたま当たらなかった場合である。この場合、暴行罪が成立していないと考えると、暴行の未遂を処罰する規定はないので、不可罰という結論になる。しかし、人に傷害を加える危険のある行為をしている以上、それがたまたま当たらなかったとしても暴行罪の既遂として処罰できるとするのが学説上の多数説であり、そのため、身体的接触は必要ないとされている。 さらに、もともと人の身体を狙ったわけではない有形力の行使についても、判例は暴行罪の成立を認めている。そのような例として、当てるつもりはなく単に脅すつもりで日本刀を振り回したケース(最決昭和39年1月28日刑集18巻1号31頁)や、驚かすために人の数歩手前を狙って石を投げたケース(東京高判昭和25年6月10日高刑3巻2号222頁)、嫌がらせのため並走中の自動車に幅寄せしたケース(東京高判昭和50年4月15日刑月7巻4号480頁)がある。
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