超流動における渦とは? わかりやすく解説

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超流動における渦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:30 UTC 版)

量子渦」の記事における「超流動における渦」の解説

超流動における量子渦は、超流動体内部においても超流動状態になっていない「穴」として存在し、渦の中心を軸とした周囲沿って超流動体は回転して流れている。渦の太さ流体種類によって異なり、渦芯の太さヘリウム4において1010 m(1 Å)、ヘリウム3において10−7 mのオーダーである。超流動ヘリウム4における量子渦比較単純な構造をしており、渦の中心秩序変数特異点として表せる。 超流動性質は、系の秩序変数である巨視的波動関数によって与えられる位相から決定される。特に、超流動速度場位相φの勾配比例するv s = ℏ m ∇ ϕ {\displaystyle {\boldsymbol {v}}_{s}={\frac {\hbar }{m}}\nabla \phi } ここで、 ℏ {\displaystyle \hbar } は換算プランク定数、mは超流動として流れ粒子ヘリウム原子など)の質量、∇はナブラである。超流動速度場決まれば流体中で、ある閉曲線沿った循環定義できるが、もし閉曲線囲まれ領域単連結であるなら、ストークスの定理と ∇ × v s ∝ ∇ × ( ∇ ϕ ) = 0 → {\displaystyle \nabla \times {\boldsymbol {v}}_{s}\propto \nabla \times (\nabla \phi )={\vec {0}}} を用いれば循環ゼロとなる。これより、超流動は渦を持たないポテンシャル流になっている考えられる。しかし、実際には、閉曲面中に「渦」のような超流動体の存在しない小さな領域がある場合閉曲線Cに沿った循環C v sd l = ℏ m ∮ C ∇ ϕ ⋅ d l = ℏ m Δ ϕ {\displaystyle \oint _{C}{\boldsymbol {v}}_{s}\cdot \,d{\boldsymbol {l}}={\frac {\hbar }{m}}\oint _{C}\nabla \phi \cdot \,d{\boldsymbol {l}}={\frac {\hbar }{m}}\Delta \phi } はゼロにはならない。ここで、Δφは閉曲線沿って一周したときの波動関数位相差である。一般に波動関数閉曲線沿って一周した後に同じ値に戻らなければならないから、可能な位相差は2πの整数倍(Δφ=2πn)となる。ここで、nは任意の整数である。このように超流動状態における循環は、 ∮ C v sd l = 2 π ℏ m n {\displaystyle \oint _{C}{\boldsymbol {v}}_{s}\cdot \,d{\boldsymbol {l}}={\frac {2\pi \hbar }{m}}n} と量子化される。このときの量子化単位 2 π ℏ / m = h / m {\displaystyle 2\pi \hbar /m=h/m} は、循環量子(quantum of circulation)と呼ばれる実際には、n≧2の渦の生成n=1の渦の生成比べてエネルギー的に不安定となるため、超流動体はn=1の渦のみが存在する系となる。

※この「超流動における渦」の解説は、「量子渦」の解説の一部です。
「超流動における渦」を含む「量子渦」の記事については、「量子渦」の概要を参照ください。

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