贋作『ドン・キホーテ』
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「ドン・キホーテ」の記事における「贋作『ドン・キホーテ』」の解説
1614年、アロンソ・フェルナンデス・デ・アベジャネーダ(スペイン語版)と名乗る人物が『ドン・キホーテ』の続編を発表した(原題:Segundo tomo del ingenioso hidalgo Don Quixote de la Mancha)。だがこれはセルバンテスが書いたものでもなければ、許可を取ったものでもない。すでにベストセラーとなっていた『ドン・キホーテ』の名前を利用しただけの贋作である。セルバンテスが後編執筆中に出版されたため、『ドン・キホーテ』後編のなかで、この贋作が『ドン・キホーテ』前編とは無関係であることを何度も主張し、さらには贋作のドン・キホーテに対抗して行き先をサラゴサからバルセロナに変更している。 アベジャネーダの正体は、300年以上も謎のままであったが、現在では1988年マルティン・デ・リケールが提起したヘロニモ・デ・パサモンテ説が有力となっている。この人物は、後述するヒネス・デ・パサモンテのモデルになった人物であり、セルバンテスとともにレパントの海戦を戦って捕虜になったアラゴン人である。 司祭と床屋がドン・キホーテの蔵書を批評する場面ではセルバンテス自身の作品である『ラ・ガラテーア』も取り上げられている。 後編では「前編が出版されて世に出回っている」という設定となっており、登場人物たちが前編の批評を行い、矛盾している記述の釈明を行ったりする。また、前編でドン・キホーテを知った人々が、前編での記述をもとにドン・キホーテ主従に悪戯をしかける。 また、上述の贋作についても度々言及されており、「ドン・キホーテを騙る人物が存在し、贋作はこの2人の道中記である」という設定になっている。
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