贈与の義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 15:23 UTC 版)
贈与と交換について、いかなる規則によって贈り物を受け取るとお返しをする義務が生じるのか、また、贈り物にはいかなる力があって受け手にお返しをするように仕向けるのかを特に論じた。 物を与え、返すのは、互いに敬意を与え合うためである。人は自分自身や自分の財を他者に負っており、何かを与えるのは自分自身を与えることにつながる。贈与は双方的なつながりを作って他者を受け入れることにつながり、集団間の戦いを防ぐ。また、集団間の贈与で獲得した財は構成員に再配分される。このため、贈り物は与えなくてはならず、受け取らなくてはならず、しかも受け取ると危険なものになり得る。モースは贈与を構成する3つの義務として、与える義務、受け取る義務、返礼の義務をあげた。 与える義務:与えるのを拒んだり、招待をしないのは、戦いを宣するに等しい。ヨーロッパの伝承にもあるように、招待を忘れると致命的な結果となる。 受け取る義務:贈り物を受け取らなかったり、結婚によって連盟関係を取り結ばない、といったことはできない。受け取りを拒むのは、返礼を恐れているのを表明することにもつながる。 返礼の義務:この義務を果たさないと、権威や社会的な地位を失う。権威や社会的地位が財や富に直結する社会では、返礼が激しい競争をもたらす場合がある。
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