買収価額が被取得企業の純資産を下回る場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 01:09 UTC 版)
「のれん (会計)」の記事における「買収価額が被取得企業の純資産を下回る場合」の解説
買収価額<被取得企業の純資産 の場合、差額を特に「負ののれん」と呼ぶ。負ののれんはB/Sにのせず、全額を当期の特別利益としてP/L(連結損益計算書もしくは損益計算書)に計上する。 負ののれんの会計処理方法としては、想定される負ののれんの発生原因を特定し、その発生原因に対応した会計処理を行う方法や、正の値であるのれんの会計処理方法との対称性を重視し、規則的な償却を行う方法が考えられる。想定される発生原因に対応した会計処理を行う方法には、企業結合によって受け入れた非流動資産に負ののれんを比例的に配分し、残額が生じれば繰延利益若しくは発生時の利益として計上する方法、又は、全額を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスとみなし発生時の利益として計上する方法等が含まれる。非流動資産に比例的に配分する方法の基となる考え方には、負ののれんの発生は、パーチェス法の適用時における識別可能資産の取得原価を決定する上での不備によるものと見なし、この過程で測定を誤る可能性の高い資産から比例的に控除することが妥当であると見るものがある。 一方、発生時に利益計上する方法は、識別可能資産の時価の算定が適切に行われていることを前提にした上で、負ののれんの発生原因を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスであると位置付け、現実には異常かつ発生の可能性が低いことから、異常利益としての処理が妥当であると考えるものである。また、異常利益として処理することを求める(経常的な利益とはならない)ことは、時価の算定を適切に行うインセンティブになるという効果もあるといわれている。 現行の国際的な会計基準では、負ののれんは発生原因が特定できないものを含む算定上の差額として全て一時に利益認識することとしている。これは、のれんは資産として計上されるべき要件を満たしているものの、負ののれんは負債として計上されるべき要件を満たしていないことによる帰結と考えられる。平成20年改正会計基準では、平成20年までの短期コンバージェンス・プロジェクトとして国際的な会計基準の考え方を斟酌した結果、従来の取扱いを見直し、負ののれんが生じると見込まれる場合には、まず、取得企業は、全ての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直すこととした。次に、この見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回る場合には、当該不足額を発生した事業年度の利益として処理することとした。
※この「買収価額が被取得企業の純資産を下回る場合」の解説は、「のれん (会計)」の解説の一部です。
「買収価額が被取得企業の純資産を下回る場合」を含む「のれん (会計)」の記事については、「のれん (会計)」の概要を参照ください。
- 買収価額が被取得企業の純資産を下回る場合のページへのリンク