象の墓場
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象の墓場とは、死期を悟ったゾウが群れを離れて本能的に向かうとされる場所[1]。都市伝説の一種であり、存在を裏付ける証拠は無い[2]。
伝説の由来
象の墓場の伝承の由来についてはいくつかの説がある。一つは、ある所に象の骨が集まっていたり、年老いたゾウの群れを見つけたことが原因だという説[3]。または、ザクセン=アンハルト州で発掘された27体のアンティクウスゾウの骨格のように、集団死から生まれた言葉ではないかとも言われている[4]。
また、飢餓や高齢で歯が摩耗し、硬いものを噛めなくなったゾウが、餌を見つけやすい場所に集まり、そこで死んでいくという行動に着目した説もある[5]。有名な象ハンターのウォルター・"カラモジョ"・ベルは、「骨や牙が何年も藪の中に眠っている」として、象の墓場という考えを否定している[6]。
大衆文化において
「象の墓場」という伝説は、MGMの『トレイダ・ホーン』(1931年)や『類猿人ターザン』(1932年)などの映画で広まり、それらでは欲深い探検家のグループが、象牙という富を求めて象の墓場を探そうとする[7]。
1994年に公開されたディズニーのアニメーション映画『ライオン・キング』には、そのミュージカル化作品や2019年のフルCGリメイク作品含め、このモチーフに言及したところがある。
カートゥーン ネットワークのアダルトスイム用シリーズ『Primal』の第3話「A Cold Death」では、エピソードの最後に同じような場所の「マンモスの墓場」が描かれている。
カプコンより発売されたゲームソフト『モンスターハンター:ワールド』に登場する瘴気の谷というフィールドは本作品のテーマである“古龍渡り”の終着点、つまり死期を迎える古龍たちの最期の地として描かれるが、ディレクターの徳田優也氏は象の墓場から着想を得たと語っている[8]。
その他の用例
- 大企業(主にアメリカ)の重役が、定年退職または辞職した際に与えられる役職と秘書を指す言葉。契約が切れるまでは、契約に基づいて給与と役職を得続けるが、実際の責任はほとんど負わないコンサルタント(特別顧問)となる。イギリスでは「Garden leave(ガーデニング休暇)[注 1]」などとも呼ばれる[11]。
他にも「象の墓場」という言葉は、1932年にフランス国立自然史博物館教授のルネ・ジャネルが、ケニアとエチオピアの探検中に発見した象の化石堆積物のような、特定の古生物学的場所を指すために象徴的・意図的に使用されてきた[12]。
脚注
注釈
出典
- ^ Young, Rory (November 15, 2013). “Do Elephant Graveyards Exist?”. Slate. February 3, 2018閲覧。
- ^ Young, Rory (November 15, 2013). “Do Elephant Graveyards Exist?”. Slate. February 3, 2018閲覧。
- ^ Armitage, Kenneth B.; Buss, Irven O. (March 1992). “The Great Beast — Elephant Life: Fifteen Years of High Population Density”. BioScience (BioScience, Vol. 42, No. 3) 42 (3): 196–197. doi:10.2307/1311827. hdl:1808/10608. JSTOR 1311827.
- ^ Brühl, Enrico; Mania, Dietrich (22–25 September 2003). "Neumark-Nord: a middle Pleistocene lake shore with synchronous sites of different functional character". Données récentes sur les modalités de peuplement en Europe au Paléolithique inférieur et moyen. Rennes: Université de Rennes.
- ^ Iain Douglas-Hamilton, Richard Barnes, Hezy Shoshani, A. Christy Williams, A. J. T. Johnsingh, Robin Beck, Katy Payne "Elephants" The Encyclopedia of Mammals. Ed. David W. Macdonald. Oxford University Press, 2007. Oxford Reference Online. Oxford University Press. 28 August 2007
- ^ Bell, Walter (1949). Karamojo Safari. Harcourt, Brace. p. 26. ISBN 1-57157-358-5
- ^ Earnhart, Brady (1 July 2007). “A Colony of the Imagination: Vicarious Spectatorship in MGM's Early Tarzan Talkies”. Quarterly Review of Film and Video 24 (4): 341–352. doi:10.1080/10509200500526778.
- ^ ファミ通.com, 『モンスターハンター:ワールド』世界を虜にした新大陸とモンスターの作りかたを徳田優也ディレクターが語る, https://www.famitsu.com/news/201808/24162857.html
- ^ Clarke, D. Barrie; Henry, Andrew S.; White, Mary Anne (10 September 1998). “Exploding xenoliths and the absence of 'elephants' graveyards' in granite batholiths”. Journal of Structural Geology 20 (9–10): 1325–1343. doi:10.1016/S0191-8141(98)00082-0.
- ^ PP y PSOE se echan en cara que utilicen el Senado como cementerio de elefantes, Juan Carlos Merino, 7 July 2015, La Vanguardia.
- ^ Dominus, Susan (October 3, 2012). “The Woman Who Took the Fall for JPMorgan Chase”. New York Times. May 9, 2016閲覧。
- ^ René Jeannel, Mission scientifique de l'Omo. Un cimetière d'éléphants avec 48 planches de photographies et une carte hors texte, Paris, publisher: Société des Amis du Muséum, 1934, in-8, sofcover (270 x 185 mm), 159 pp, ASIN B0000DSYFT
外部リンク
- Teeth, second dentition, tusks – 歯を擦り減らした象と、象の墓場の伝説との関連についての情報あり。
象の墓場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 21:11 UTC 版)
象の墓場は象牙の宝庫とされる。「象は死に場所を選んで死ぬため、死期が迫った象は自ら仲間が死んだ場所へと向かい、死んだ象が必然的にたくさん集まる場所ができる」とする伝説がある。『シンドバッドの冒険』の「7度目の冒険」では、象を狩って象牙を得る奴隷の身分に堕ちたシンドバッドが、仲良くなった象から「象の墓場」を教えてもらい、象を殺さずに象牙を得て巨万の富を得た。このように、おとぎ話の世界の話で、現実には存在しない。
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