語義・よくみられる誤訳:「聖ヨハネ・クリュソストモスの典礼」「ミサ」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/07 04:39 UTC 版)
「聖金口イオアン聖体礼儀」の記事における「語義・よくみられる誤訳:「聖ヨハネ・クリュソストモスの典礼」「ミサ」」の解説
英語の"Liturgy"には「奉神礼」(「典礼」に相当する正教会の訳語)・「礼拝」の意味がある事から、金口イオアン聖体礼儀(The Divine Liturgy of St. John Chrysostom)のことを「聖ヨハネス・クリュソストモスの典礼」「聖ヨハネ・クリュソストムの典礼」等と訳出するケースが一般に散見されるが、これらは誤訳である。 たしかに、正教会においても"Liturgy"(英語)は、狭義では「聖体礼儀」の語義がある一方で、広義には「奉神礼」という語義がある。 しかし英語の"Divine Liturgy"は正教会にあってはこれ以上の修飾語を伴わずとも聖体礼儀を指す語である。また、各国語で"του Χρυσοστόμου"(ギリシャ語)・"Иоанна Златоуста"(ロシア語)・"of St. John Chrysostom"(英語)という修飾語がついている場合、金口イオアンの名の修飾を伴う奉神礼は他に存在しない以上、"Liturgy"に聖体礼儀以外の意味は有り得ない。 つまり「聖ヨハネ・クリュソストモスの典礼」との訳については カトリック教会の用語である「典礼」を、正教会の奉神礼に適用している。 「典礼」という広義に過ぎる用語を用い、"Divine Liturgy"が意味するものが聖体礼儀以外には有り得ない事を認識していない。 という、二重の誤りが存在する。 なお、聖体礼儀を「正教会のミサ」と呼ぶケースも稀にみられるが、正教会の聖体礼儀をミサと呼ぶ事は英語圏でも少数例にとどまり、世界各国の多くの正教会で「ミサ」と呼ぶ事は無いか極めて稀である。
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