訴えが先で相殺の抗弁が後の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 00:27 UTC 版)
「二重起訴の禁止」の記事における「訴えが先で相殺の抗弁が後の場合」の解説
訴えが先の場合、かつては、許されるという見解が通説だった。相殺の抗弁は訴えの提起ではなくあくまでも抗弁であり、しかも相殺の抗弁は他の抗弁より後に審理・判断されるため、二重審理・既判力抵触が起きるかは不確実であるからである。しかし、近年ではどちらかというと二重起訴の禁止の趣旨に触れて許されないという見解の方が多数説となっている。もっとも、相殺の抗弁の提出を認めないと相殺の担保的機能への期待が害されるという指摘もある。 判例は最判昭和63年3月15日民集42巻3号170頁及び最判平成3年12月17日民集45巻9号1435頁で、相殺の抗弁には供せないとした。一方で判例は最判平成10年6月30日民集52巻4号1225頁において、前訴が一部請求の事案で、残部による相殺の抗弁を認めた。相殺の担保的機能へのシフトだとする見方もあるが、一部請求では訴訟物が分断されるという一部請求の判例理論に従っただけとも解しうる。
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