覇王別姫における虞美人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 04:22 UTC 版)
『覇王別姫』は、明代の沈采が書いた歌劇(伝奇)である『千金記』に依拠して、京劇『楚漢争』を参考にして、創作された京劇である。項羽が主人公となる作品であり、虞美人もまた登場する。斉如山の脚本により、初演は1922年に行われている。 『覇王別姫』における虞美人は、項羽を二度諫めるなど、会話や行動において項羽に対して積極的な姿勢をみせる自我が強い女性として描かれる。項羽も虞美人に対して一目置き、置き去りにしようとしない強い愛情を示している。 『覇王別姫』は主役である項羽を際立たせ、舞台をより良くするために改編されたが、意外なことに、虞美人が自殺する場面の方が見せ場である項羽の大立ち回りよりも印象深いものになるという結果となった。観客は虞美人に魅了され、虞美人は項羽を人気で凌駕してしまい、虞美人が自殺する場面が終わると、項羽の烏江での最後の大立ち回りが残っているのに、観客が続々と席を立ったという。 そのため、『覇王別姫』は虞美人に偏るものとなり、項羽の立ち回りが演じられることがなくなり、虞美人の活躍する場面が繰り返し演じられるようになった。虞美人の存在は強調され、その結果、『覇王別姫』の主題が、項羽と虞美人の別れにすり替わってしまい、項羽が脇役のようになり、現代では、『覇王別姫』は悲恋の物語と言われるまでになってしまった。
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