葬儀としての人肉食
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 17:53 UTC 版)
1938年(昭和13年)、伊波普猷は当時那覇他で見られていた葬儀の際に会葬人への豚肉料理を提供する習慣の起源ではないかと、ある民間伝承を参考のために書き記している。 那覇で金持の家になると、七十歳以上の人が死ぬ場合には、今日でも女子の会葬人だけに豚肉料理を主にした御膳を出すが、……同治元年(即ち我が文久二年、一八六二)頃までは、久米島では葬式の時に牛や豚を屠って会葬人一同に振舞つたが、……なほ国頭郡にもさういふ言伝へがあるとのことだから、この風習が、かつて南島全体にあつたことは、最早疑ふ余地がない。之に就いてはかういふ民間伝承がある。昔は死人があると、親類縁者が集って、其の肉を食った。後世になつて、この風習を改めて、人肉の代りに豚肉を食ふやうになつたが、今日でも近い親類のことを真肉親類(マツシヽオエカ)といひ、遠い親類のことを脂肪親類(プトプトーオエカ)といふのは、かういふところから来た云々。
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