荊冠のキリスト_(カラッチ)とは？わかりやすく解説

『荊冠のキリスト』
	イタリア語: Cristo incoronato di spine; 英語: Christ Crowned with Thorns
作者	アンニーバレ・カラッチ
製作年	1598-1600年
種類	キャンバス上に油彩
寸法	60 cm × 69.5 cm (24 in × 27.4 in)
所蔵	ボローニャ国立絵画館（英語版）

『荊冠のキリスト』（けいかんのキリスト、伊: Cristo incoronato di spine、英: Christ Crowned with Thorns）、または『嘲笑されるキリスト』（ちょうしょうされるキリスト、英: Christ Mocked）は、イタリア・バロック期のボローニャ派の巨匠アンニーバレ・カラッチがキャンバス上に油彩で制作した絵画である。おそらく彼がローマでカメリーノ・ファルネーゼ（英語版）の絵画および『神々の愛』 (ファルネーゼ宮殿) に取り組んでいた1598-1600年に描かれたと思われる^[1]。作品は現在、ボローニャ国立絵画館（英語版）ボローニャ国立絵画館（英語版）に所蔵されている^[1]。

作品

セバスティアーノ・デル・ピオンボ『十字架を担うキリスト』、プラド美術館、マドリード

本作は通常、伝記作者ジュリオ・マンチーニ（英語版）が自身の著作『絵画に関する考察 (Considerazioni sulla pittura)』 (1620年) で言及している作品と同一視されている^[2]。マンチーニは、アンニーバレ・カラッチが「『マニゴルディ』礼拝堂のために鞭打たれ、髪の毛を引っ張られているキリストをフラ・バスティアーノ (セバスティアーノ・デル・ピオンボ) の様式で」描いたと述べている。それは、カラッチの庇護者であったオドアルド・ファルネーゼ枢機卿（英語版）が過去の芸術家の方が現代の芸術家より優れていたといったことに対する、カラッチの怒りの返答であったとのことである。その後、枢機卿はファルネーゼ宮殿の壁に掛けられていた本作を見た際、セバスティアーノ・デル・ピオンボの作品と思い、以前の自分の主張は正しかったと述べたという。これに対し、カラッチは、絵画の作者は「神の恩寵により (まだ) 生きています」と答えたとのことである。

本作は、ファルネーゼ家のコレクションとともにローマからパルマに移され、次いでナポリに運ばれた。18世紀末に、作品はイギリスの収集家の所有となったが、後にオークションに出され、1951年にイタリア政府によりボローニャ国立絵画館のために取得された。

ギャラリー

アンソニー・ヴァン・ダイク『イタリア画帳』 (1621–1627年)、大英博物館、ロンドン。本作のスケッチが、ティツィアーノの『荊冠のキリスト』 (ルーヴル美術館、パリ) のスケッチ上に見える。
本作にもとづく、セバスティアーノ・ヴァリアーニによる版画 (1627年)
本作
アンドレア・サッキによる複製、プラド美術館、マドリード^[3]

脚注

^ ^a ^b “Gesù Cristo incoronato di spine”. ボローニャ国立絵画館公式サイト (イタリア語の英訳). 2025年4月18日閲覧。
^ Donald Posner, Annibale Carracci: A Study in the reform of Italian Painting around 1590, Londra, 1971, Vol. II, N. 89, pp. 38-39.
^ “The Crowning with Thorns”. Museo Nacional del Prado. 2025年4月18日閲覧。

外部リンク

ボローニャ国立絵画館公式サイト、アンニーバレ・カラッチ『荊冠のキリスト』 (イタリア語)

[PB-1] “Gesù Cristo incoronato di spine”. ボローニャ国立絵画館公式サイト (イタリア語の英訳). 2025年4月18日閲覧。

[PosnerII-2] Donald Posner, Annibale Carracci: A Study in the reform of Italian Painting around 1590, Londra, 1971, Vol. II, N. 89, pp. 38-39.

[3] “The Crowning with Thorns”. Museo Nacional del Prado. 2025年4月18日閲覧。

[1]

[2]

[3]

表話編歴アンニーバレ・カラッチ
風俗画	『肉屋の店』（1583年頃）『豆を食べる男』（1583-1584年頃）『猫をからかう二人の子供』（1587-1588年頃）
宗教画	『キリストの遺体』（1583-1585年）『キリストの洗礼』（1585年）『聖クララ、聖フランチェスコ、マグダラのマリアのいるピエタ』（1585年）『聖エウスタキウスの幻視』（1585-1586年）『聖母子と聖人たち (ドレスデン)』（1588年）『聖母被昇天 (プラド美術館)』（1588-1590年）『聖ルカと聖カタリナの前に現れる聖母』（1592年）『ボローニャ上空の栄光の聖母子』（1593年）『聖母子と聖人たち (ボローニャ)』（1593年）『聖ロクスの施し』（1587-1595年）『キリストの埋葬』（1595年頃）『キリストとサマリアの女』（1594-1595年）『荊冠のキリスト』（1598-1600年）『修道院長聖アントニウスに現れるキリスト』（1598-1600年）『栄光のキリストと聖人たち、およびオドアルド・ファルネーゼ』（1598-1600年）『アンティオキアの聖マルガリタ』（1599年）『聖母マリアと眠る幼子イエス、幼児洗礼者聖ヨハネ』 (1599-1600年) 『ピエタ』（1600年頃）『キリストの墓を訪れた三人のマリア』（1600年頃）『主よ、何処へ行かれるのですか』（1601-1602年）『聖母被昇天 (ローマ)』（1600-1601年）『ピエタと聖人たちの携帯祭壇画』（1603年）『二人の天使のいるピエタ』（1603年頃）『聖ステファノの殉教』（1603-1604年頃）『スザンナと長老たち』（1604年）『エジプトへの逃避途上の休息』（1604年頃）『死せるキリストの哀悼』（1604年頃）『聖フランチェスコとマグダラのマリアのいるピエタ』（1602-1607年）
神話画・寓意画	『真実と時の寓話』（1584-1585年頃）『ヴィーナスとサテュロス、二人のキューピッド』（1587-1588年）『ヴィーナスとアドニス、キューピッド』（1590年頃）『分かれ道のヘラクレス』（1596年）『リナルドとアルミーダ』（1601-1602年頃）『神々の愛』（1597-1608年）
風景画	『川景色』 (1590年頃) 『狩猟』（1595年以前）『釣り』（1595年以前）『要塞と橋を望むローマの川の風景』 (1600年頃) 『エジプトへの逃避のある風景』（1604年頃）
肖像画	『イーゼルの上の自画像』（1603-1604年）『モンシニョール・ジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキの肖像』 (1604年)

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