モンシニョール・ジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキの肖像とは? わかりやすく解説

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モンシニョール・ジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキの肖像

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/16 02:26 UTC 版)

『モンシニョール・ジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキの肖像』
イタリア語: Ritratto di monsignor Giovanni Battista Agucchi
英語: Portrait of Monsignor Giovanni Battista Agucchi
作者 アンニーバレ・カラッチ、またはドメニキーノ
製作年 1604年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 60.3 cm × 46.3 cm (23.7 in × 18.2 in)
所蔵 ヨーク美術館英語版ヨーク

モンシニョール・ジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキの肖像』(モンシニョール・ジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキのしょうぞう、: Ritratto di monsignor Giovanni Battista Agucchi: Portrait of Monsignor Giovanni Battista Agucchi)は1604年にキャンバス上に油彩で制作された絵画である。1955年に国家芸術収集基金英語版を通して、第3代準男爵エドワード・アーサー・ライセット・グリーン卿英語版の弟であるフランシス・デニス・ライセット・グリーン (1893-1959年) からイギリスヨーク美術館英語版に寄贈された[1]。長い間、ドメニキーノに帰属されていたが、現在は一般にアンニーバレ・カラッチに帰属されている。しかしながら、古文書の発見にもとづき、今もドメニキーノへの帰属を支持している研究者もいる。ヨーク美術館はアンニーバレ・カラッチへの帰属を認めている[2]が、アートUK英語版の目録ではまだ認められていない[3]

作品

本作のモデルはジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキ英語版で、彼はジロラモ・アグッキ (Girolamo Agucchi) 枢機卿の兄弟で、カラッチの主な庇護者であった。作品は「キメーレ (僧服)英語版を着て、両手で手紙を持ち、鑑賞者を見ているモンシニョール・アグッキ」として、カルロ・チェーザレ・マルヴァジア英語版の『フェルシーナ・ピットリーチェ (Felsina Pittrice)』 (1678年) 中にあるアンニーバレ・カラッチの絵画にもとづく版画リストに登場する[4]。しかし、ほかの17世紀の文書は作品をドメニキーノに帰属している。ドメニキーノへの帰属は19世紀から1994年まで一致して支持されていたが、シルヴィア・ギンズバーグ (Silvia Ginsburg) は上記のマルヴァジアの言及を再発見し、カラッチへの再帰属を裏づけるほかの記録や様式的証拠を見出した。美術史家デニス・マーン英語版、ダニエレ・ベナーティ (Daniele Benati)、トマーゾ・モンタナーリ英語版は皆、この再帰属を支持している。作品がナショナル・ギャラリー (ロンドン) に貸し出されていた間も、この帰属で展示された[5]

すでに「17世紀に描かれた最も見事な非公式の肖像画の1つ」として考えられている本作は最近、バロック肖像画の一里塚の1つと見なされている[6]

本作をカラッチに帰属するトマーゾ・モンタナーリは、作品を「話す肖像画」の最初の例の1つとして見なしている。この「話す肖像画」とは、描かれている人物が鑑賞者と直に個人的関係を有しており、話しかけてこようとしているようにさえ見える肖像画のことである[7]

ギャラリー

脚注

  1. ^ Eloise Donnelly, Researching the Lycett Green Collection”. York Museums Trust. 2025年3月22日閲覧。
  2. ^ Collection Item: Portrait of Monsignor Agucchi”. York Museums Trust. 2025年3月22日閲覧。
  3. ^ Monsignor Agucchi, Domenichino (1581–1641), York Art Gallery”. Art UK. 2025年3月22日閲覧。
  4. ^ (イタリア語) Daniele Benati, in Annibale Carracci, Catalogo della mostra Bologna e Roma 2006–2007, Milano, 2006, p. 392.
  5. ^ Sparti (2003年). “Cesi”. Oxford Art Online. Oxford University Press. doi:10.1093/gao/9781884446054.article.t015619. 2022年4月1日閲覧。
  6. ^ DeGrazia, Diane (1983). “Richard E. Spear. Domenichino. New Haven–London: Yale University Press, 1982. 2 vols.: 9 figs. + 432 pls.; vii + 382 pp. $150.”. Renaissance Quarterly 36 (4): 601–603. doi:10.2307/2860745. ISSN 0034-4338. JSTOR 2860745. http://dx.doi.org/10.2307/2860745. 
  7. ^ Montanari, Tomaso (2015-07-17). “Una traccia per la pittura del tardo Bernini. Notizie dal carteggio su due ritratti di Clemente IX”. A Transitory Star. De Gruyter. pp. 183–192. doi:10.1515/9783110360080-009. ISBN 978-3-11-035999-2. http://dx.doi.org/10.1515/9783110360080-009 2022年4月1日閲覧。 

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