浅瀬のある風景 (ドメニキーノ)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 浅瀬のある風景 (ドメニキーノ)の意味・解説 

浅瀬のある風景 (ドメニキーノ)

(浅瀬のある風景 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 14:24 UTC 版)

『浅瀬のある風景』
イタリア語: Paesaggio con guado
英語: Landscape with Ford
作者 ドメニキーノ
製作年 1605-1607年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 47 cm × 59.5 cm (19 in × 23.4 in)
所蔵 ドーリア・パンフィーリ美術館ローマ

浅瀬のある風景』(あさせのあるふうけい、: Paesaggio con guado: Landscape with Ford)は、イタリアバロック期のボローニャ派の画家ドメニキーノキャンバス上に油彩で制作した風景画である。研究者たちは、ドメニキーノが教養ある芸術理論家であったジョヴァンニ・バッティスタ・アグッキ英語版と知り合った頃の1605-1607年に描かれた作品とみなしている[1]。伝記作者のジュリオ・マンチーニ英語版によれば、ドメニキーノはアグッキのために一連の完璧に制作された魅惑的な風景画を描いたとのことである[1]。作品は現在、ローマドーリア・パンフィーリ美術館に所蔵されている[1][2]

作品

アンニーバレ・カラッチエジプト逃避のある風景』 (1604年ごろ)、ドーリア・パンフィーリ美術館、ローマ

アンニーバレ・カラッチは、ピエトロ・アルドブランディーニ英語版枢機卿の執事長であったアグッキを通して自身の作品を枢機卿に知られるようになり、1602年にローマに移った[2]。本作は、ドメニキーノが『エジプト逃避のある風景』など「アルドブランディーニ・ルネット」と呼ばれるアンニーバレの一連の風景画 (ドーリア・パンフィーリ美術館) に強い影響を受けていた時代のものである[1]。ドメニキーノは、アンニーバレの指導により古典的で理想的な風景画の人気を確固たるものとしたが、本作の構図は古典的な様式に則り、そびえる木々で枠どられ、遠景には古い村がある[1]

前景左から右へ1人の人物、カップル、家族がおり、彼らは赤色、青色、黄色の衣服によって区別される。この3色は、過去、現在、未来という3つの歴史的視点に対応するもののようである[2]。過去、現在、未来はそれぞれ、情景を眺め[1]、自身がやってきた道程を顧みている女性、連れを背負って川を渡っている男性、そして靴を脱いでいる農夫と妻、子供たちによって表現されている[2]

おそらく、この絵画は、「浅瀬を渡る者は水がどれだけ深いかを知っている(Chi ha passato il guado, sa quant'acqua tiene.)[3])」という諺を図示したものとして意図された[2]。しかし、描かれていることの結末は推測するしかない。浅瀬の中ほどにいる男性は対岸に到達するのであろうか。岸で待っている人々は彼に続いていくのであろうか。絵画の意味は、アルドブランディーニ枢機卿とアグッキの高い知的水準を考慮してようやく把握できる。構図、滑らかな筆触、地味であるが快活な色彩は無邪気なものに見えるが、洗練されたもので、自然というより意図的なものなのである[2]

脚注

  1. ^ a b c d e f Landscape with Ford”. ドーリア・パンフィーリ美術館公式サイト (英語). 2025年4月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Landscape with Ford”. Web Gallery of Art公式サイト (英語). 2025年4月16日閲覧。
  3. ^ 『Grande dizionario della lingua italiana』 (it) 、7巻、p.92

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  浅瀬のある風景 (ドメニキーノ)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「浅瀬のある風景 (ドメニキーノ)」の関連用語

浅瀬のある風景 (ドメニキーノ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



浅瀬のある風景 (ドメニキーノ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの浅瀬のある風景 (ドメニキーノ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS