英米法に与えた影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 09:19 UTC 版)
陪審制は、イギリスにおいてコモン・ロー(英米法)とともに長年発展してきたことから、陪審制がコモン・ローに与えた影響は大きい。主に手続面では、次のような点が指摘されている。 陪審員にも分かるように、法が極端に難しくなることが防がれた。 陪審員の負担軽減のため、集中審理が行われるようになった。 後述のサマリ・ジャッジメントのように、陪審審理を不必要に行わないために争点を絞り込む手続が発達した。 集中審理における不意打ちを防止するため、証拠開示(ディスカバリー)の手続が発達した。 陪審員に訴えかけるため、法廷における尋問等の技術が発達した。 伝聞証拠禁止の原則のように、陪審員が判断を誤らないための証拠法が発達した。 また、契約法の分野でも、次のような点で陪審制の影響が指摘されている。 一定の種類の契約には書面と債務者の署名がなければ裁判上の救済が与えられないという詐欺防止法は、17世紀のイギリスで、偽証によって陪審をだます訴訟詐欺を防ぐために制定されたとされる。 契約の内容については契約書の内容によって立証すべきで、それ以外の証拠(口頭の約束等)は排除されるという 口頭証拠排除法則 は、契約から時間が経ってからの当事者(特に経済的弱者の側)の供述を、陪審が安易に受け入れてしまいやすいため、それを防ぐために形成されたとの説がある。 さらに、刑事法の分野でも、陪審審理が面倒でコストがかかるものになったことが、司法取引が発達した一つの要因として挙げられることがある。
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