自発磁化と自発的対称性の破れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:19 UTC 版)
「自発的対称性の破れ」の記事における「自発磁化と自発的対称性の破れ」の解説
強磁性体では外部から磁場を掛けなくとも物質内部の磁気モーメントが揃った領域(磁区)ができること(自発磁化)が知られている。この現象は原子間のスピンの向きに関する相互作用による。この相互作用は3次元ハイゼンベルク模型では H i n t = J ∑ i n S → i ⋅ S → i + 1 {\displaystyle H_{int}=J\sum _{i}^{n}{\vec {S}}_{i}\cdot {\vec {S}}_{i+1}} で表されるが、この相互作用ハミルトニアンは座標回転に対応したO(3)変換に対して不変である。ここで S → i {\displaystyle {\vec {S}}_{i}} はスピンベクトル、 J ( > 0 ) {\displaystyle J\,(>0)} は交換相互作用定数を表し、 n {\displaystyle n} はスピンの数である。これを見るとどの方向に自発磁化ができるかは全く等価であり、いずれも等しく系の基底状態で理論から定めることはできない。 一方で自発磁化が発生した後にはその方向が系の基底状態であり、それ以外の方向を磁気モーメントが向くことは系を励起させることになる。つまり元々あった対称性が壊れており、「自発的対称性の破れが起こった」と表現される。
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