自然界における牛糞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 18:37 UTC 版)
「糞虫」も参照 排泄された牛糞が放置されると、糞虫などの昆虫が飛来する。日中に牛糞が発生した場合は当日よりも翌日以降の方が多くの虫が集まり、草地の例では1日後に飛来した昆虫の個体数は当日の夕方までの個体数に比べて3 - 6倍に増加したという報告がある。これは、多くの糞虫が夜行性であるためと考えられている。また、発生個所が森林の場合は翌日から4日後にかけて緩やかに飛来数が増加し、集糞性甲虫類のハネカクシやシデムシも多く集まる。牛糞の周囲の環境によって、好日性ないし嫌日性の昆虫の集まりやすさなどに影響がある。 糞虫が自由に活動できる条件下で1kgの牛糞を草地に放置した実験では、1週間後に4分の1の牛糞が消失した。残存したものも糞虫のいない場合に比べて約半分の341gまで重量が減少し、糞虫による利用は牛糞の残存量に有意な影響を及ぼす。一方で、乾燥が一定以上進んで表面が固くなった牛糞は糞虫に利用されなくなり、その後は主に風化作用によって分解されていく。乾燥の進行は日照時間などの環境によって大きく左右される。なお、放牧地に牛糞が存在するとウシは主に臭気を嫌ってその周辺の草を食べなくなる。 また、牛糞を大量に地表に積み上げると、20cm以上の深さ範囲まで窒素濃度が上昇する。降雨などによって5年ほどで窒素濃度は元に戻るが、この間はイヌビエやシロザなど窒素耐性の高い植物が優先的に成長する。
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