自明性および切断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 01:54 UTC 版)
ファイバー束が自明(つまり、積束に同型)か否かは、ファイバー束に関する最も重要な問題の一つである。主束においては、自明性に関する便利な特性がある。 定理: 主束は、大域的切断がある場合に限り、自明である。 これは、他のファイバー束に関しては成立しない。例えば、ベクトル束は、それが自明か否かに関わらず、零切断を常に有する。 同じ定理は、主束の局所的自明性に関しても適用できる。π : P → X を主 G 束とする。開集合 U ⊆ X は、U 上の局所的切断を有する場合に限り、局所的に自明となる。局所的自明性 Φ : π−1(U) → U × G が与えられたとき、同伴する局所的切断 s : U ∋ x → s(x) = Φ−1(x,e) ∈ π−1(U) が定義できる。ここに、e は G の単位元である。反対に、局所的切断 s が与えられたとき、局所的自明性 Φ : π−1(U) → U × G を Φ−1(x,g) = s(x)·g により定義できる。G が P のファイバーに単純推移的に作用することから、この写像が全単射になることが保証される。この写像はまた、同相写像であることがわかる。局所的切断により定義される局所的自明性は、以下の意味で G 同値である。 Φ : π−1(U) ∋ p → Φ(p) = (π(p),φ(p)) ∈ U × G と書くと、写像 φ : P → G は、 φ(p·g) = φ(p)g を満たす。従って、同値な自明性は、ファイバーの G の主等質空間としての構造を保存する。同伴する局所的切断 s に関して、写像 φ は φ(s(x)·g) = g により与えられる。つまり、切断定理の局所化は、主束の同値な局所的自明性が局所的切断と一対一対応することを主張するものである。 P の同値な局所的自明性 ({Ui}, {Φi} が与えられたとき、各 Ui 上で局所的切断 si が得られる。重なり合う部分では、構造群 G の作用により、これらは互いに関係しなければならない。実際、推移関数 s j ( x ) = s i ( x ) ⋅ t i j ( x ) {\displaystyle s_{j}(x)=s_{i}(x)\cdot t_{ij}(x)} により、この関係が証明される。任意の x ∈ Ui ∩ Uj に対し、 s j ( x ) = s i ( x ) ⋅ t i j ( x ) {\displaystyle s_{j}(x)=s_{i}(x)\cdot t_{ij}(x)} である。
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