腕の進化的起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 03:49 UTC 版)
頭足類の体は頭部の前に腕が位置するため、他の軟体動物とは大きく異なっている。「軟体動物における足」 (なんたいどうぶつにおけるあし、molluscan foot)は軟体動物の形態の中で主要な構造である。腹足類では足は這うための筋肉質の足(sole)となっているのに対し、頭足類では、足は漏斗、そしておそらく腕および触腕に分化している。その変化はベントスからネクトンへの生活様式の変化に伴う体制の改変によると理解されている。 腕は現生の頭足類が持つ共有派生形質である。オウムガイの発生様式から、頭足類の頭部の体制は祖先的な軟体動物の体の構造を独自に再構成して形成していることがわかっている。オウムガイの胚は発生の初期段階では左右相称で前後に長く、頭部、足、脳、外套膜、殻の形態と配置が単板類や腹足類の基部系統の体制に類似しているため、原始的な軟体動物(有殻類)の構造を反映していると解釈される。 腕の進化的起源は議論されてきたが、現在はオウムガイの腕原基が体の側方に沿って前後に1列に並んだ芽状の原基から形成され、それが移動するという発生学的証拠により、頭足類の腕が頭部ではなく軟体動物における足が口の周囲に移動し変形したものに由来すると考えられている。また古くは腕の神経が頭部に接続しているという解剖学的証拠から頭部の変形と考えられたこともあったが、実際はこの時期に腕の原基が足神経索から神経支配を受けることから、足の変形とする解釈が支持される。
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