能「鼓滝」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 03:41 UTC 版)
能に有馬の桜とその名所「鼓の滝」を主題とした『鼓滝』という作品があり、世阿弥作とも言われるが作者は不詳で15世紀頃には完成していたと言われる。その中に、山中で帝の臣下に道を尋ねられた山賤の翁(実は滝祭神)が口にした古歌として「津の国の鼓の滝をうちみればただ山川のなるにぞありける」が登場し、「和歌にも詠まれた名所だから、教養ある都人のあなたのほうが山賤の私よりよく知っているだろう」とやり返す場面がある。この歌の元となった歌は、『拾遺集』などに収録されている平安時代の和歌「おとにきくつづみのたきをうち見ればただ山河のなるにぞ有りける」であり、ここで詠まれている「つづみのたき」は肥後国の鼓ヶ滝 (熊本市) と言われる。平安時代に肥後の名所だった鼓の滝が能『鼓滝』で津の国の名所に変更されたのは、中世に有馬が湯治場として人気となったからとされる。同時代の僧季瓊真蘂が日記に、有馬には鼓の滝が二つあり、西行法師が歌を詠んだ鼓の滝は「多田之鼓瀑」を指すと書いており、遅くとも室町時代には西行が有馬の鼓の滝で歌を詠んだという伝承は存在していたと推測される。
※この「能「鼓滝」」の解説は、「西行鼓ヶ滝」の解説の一部です。
「能「鼓滝」」を含む「西行鼓ヶ滝」の記事については、「西行鼓ヶ滝」の概要を参照ください。
- 能「鼓滝」のページへのリンク