肺サルコイドーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 10:24 UTC 版)
「サルコイドーシス」の記事における「肺サルコイドーシス」の解説
サルコイドーシスは経過中に90~95%に肺実質病変を伴うことが知られている。日本での本症の特徴としては、50~70%が胸郭内病変で発見されている。無症候性の両側肺門リンパ節腫脹(BHL)などで、健康診断で指摘される場合が多い。進行例では、乾性咳嗽、労作時呼吸困難などが認められ、肺の線維化が認められる場合もある。本症の約2/3の症例に自然寛解認められるのに対して、10~30%の症例では慢性または進行性に経過する。発症年齢が40歳以上、肺外病変の存在、lupus prernioを予後不良因子とする報告も存在する。これに対して、肺サルコイドーシスの活動性指標は、予後因子ではない事が知られている。病理学的にはサルコイドーシスの類上皮細胞肉芽腫は、通常、気管支・血管束、小葉間隔壁、胸膜下リンパ流路に沿って分布する。肉芽腫の分布は両側性で上葉に著しい。基本的には0.2 mm程度の大きさの肉芽腫であり、これらが融合し、塊状陰影や線維化を形成すると考えられている。画像上は間質病変のパターンをとり、進行例では上葉に肺線維症の初見を示す場合がある。肺のみにならず、多臓器に発達した肉芽腫は70%以上自然退縮するが、一部の進行例は線維化と蜂窩肺形成する。そのためKL-6は進行例の活動性マーカーとされている。 病理学的には発症1年以内の症例で、画像所見の有無に関係無く95%で肺に肉芽腫が認められ、その率は、より経過が長い例では50%以下である。そのためサルコイドーシス確定診断のために、肺病変の検出が試みられる場合がある。経気管支肺生検(TBLB)、気管支粘膜生検(EBB)、縦隔リンパ節の経気管支吸引肺生検(TBNA)、気管支肺胞洗浄(BAL)などが用いられる。気管支拡張症を伴い、アスペルギローマを合併する場合は、イトラコナゾールのような抗真菌薬が使用される場合がある。
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