絶対立体構造決定法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/04 08:00 UTC 版)
化合物をラセミ体のまま (+)-MTPA 誘導体として2種類のジアステレオマーを得た後、MTPA のカルボニル酸素とトリフルオロメチル基及びアルコールのカルビノールプロトンをエクリプス位に配置すると、MTPA のベンゼン環と同一の空間配位を持つアルコール側プロトンのケミカルシフトが両ジアステレオマーの間で差が見られる。 この化学シフトの差は、芳香環の磁気異方性効果により (+)-MTPA のプロトンが (−)-MTPAと比較して高磁場シフトすることで生じており、このために (+)-MTPAのプロトンの化学シフト値から (−)-MTPAのそれを差し引いたものは一律にΔδ < 0となる。 このようにしてΔδ < 0のプロトン群とΔδ > 0のプロトン群に分ける事で、カルビノール炭素の絶対配置を明らかにする事が可能である。
※この「絶対立体構造決定法」の解説は、「モッシャー法」の解説の一部です。
「絶対立体構造決定法」を含む「モッシャー法」の記事については、「モッシャー法」の概要を参照ください。
絶対立体構造決定法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/04 07:58 UTC 版)
「新モッシャー法」の記事における「絶対立体構造決定法」の解説
まず、化合物を (S)- および (R)-MTPAエステルへ誘導した後、各々のジアステレオマーのプロトンを出来るだけ多く帰属し、それらプロトンの化学シフト値の差を求める。 MTPA エステルでは、カルビニルプロトン、カルボニル酸素、トリフルオロメチル基がエクリプス型(重なり型)の時に安定するため、(S)-MTPA エステルと (R)-MTPA エステルではベンゼン環の向きが異なる。そのため、ベンゼン環側にあるプロトンが磁気異方性効果により高磁場シフトし、化学シフトに差が現れる。 その差を Δδ = δ(S) − Δ(R) として、MTPA を上側、カルビニルプロトンを下側に配置した場合、Δδ > 0 のプロトン群を右に、Δδ < 0 のプロトン群を左に置くと正確な絶対配置を示す事が可能となる。 なお、Δδ の絶対値は MTPA に近いプロトン程大きく、遠いプロトンほど小さい値となる。
※この「絶対立体構造決定法」の解説は、「新モッシャー法」の解説の一部です。
「絶対立体構造決定法」を含む「新モッシャー法」の記事については、「新モッシャー法」の概要を参照ください。
- 絶対立体構造決定法のページへのリンク