経営史の誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 16:01 UTC 版)
学問としての経営史は経営学、とくに経営政策(business policy)の発展の中から生まれた。大規模企業組織の生成発展の観点から経営学や経営政策を論じる必要性があったからである。つまり、企業の発展をより長期的視野で研究するために経営史が誕生することになったのだ。因みに、ハーバード・ビジネススクールの初代院長はE. ゲイであったが、彼はまた当時のアメリカを代表する経済史家でもあった。 1927年、N. S. B. Gras(グラース)がハーバード・ビジネススクールに招かれた。彼はここで初めての経営史の講義を担当した。当初は経済史的色彩の濃いものであったが、次第に独自の学問領域を構築していった。その集大成が1939年に世に問うたGras, N. S. B. , Business and Capitalism:An Introduction to Business History, F. S. Crofts & Co. , 1939(植村元覚訳『ビジネスと資本主義――経営史序説――』、日本経済評論社、1980年)である。ここではドイツ歴史学派の経済発展段階説の強い影響を見ることが出来る。彼は資本主義の発展を以下の5つに分けた。すなわち、 「小資本主義」(petty capitalism) 「商業資本主義」(mercantile capitalism) 「産業資本主義」(industrial capitalism) 「金融資本主義」(financial capitalism) 「国家資本主義」(national capitalism) 資本主義と企業経営の展開を総合的に観察した。彼はその後ラーソンとの共著Casebook in American Business History, N.Y., 1939(『米国経営史のケース・ブック』)を出版した。 ラーソンの後にハーバード・ビジネススクールの経営史の教授ポストを継いだのは、ハイディであった。ハイディは妻と共に(Hidy, Ralph and Muriel E.Hidy, Pioneering in Big Business, 1882-1911:History of Standard Oil company, Harper & Brothers, 1955)を著した。
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