細かな速い楽句の演奏に対して
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 17:36 UTC 版)
「アルモニカ」の記事における「細かな速い楽句の演奏に対して」の解説
グラス・ハープでは、多数のゴブレットを並べて奏するため、広い置き場所が必要となり、それに応じて、奏者はせわしく動きながら広域に配列されているゴブレットを奏することとなる。そのため、遠い音へ素早く移動する楽句や、細かな楽句は至難の技となってしまう。手も、常に各ゴブレットの上で円弧を描きながら回転させている必要があり、同時に奏することのできる和音にも限界があった。 それらの問題を解消するため、フランクリンは二つの工夫を施した。一つめは、手を回転させ続けて擦る必要がないよう、ゴブレットのほうを回転させ、そこに指を当てるだけで音を発するようにしたこと。二つめには、ゴブレットの足を排除して碗状にし、回転棒にそれを串刺し状にして設置し、それらを密接させて配置することで、各音を発する多数のガラス碗を近距離に密集させたこと。これにより、まるで鍵盤を弾くかのように、近距離に多数配置されたガラス碗の縁を、一本ずつの指で容易に奏することが可能になった。細かな速い楽句も、遠い跳躍も、広い音程や、音数の多い和音さえも一人でこなせるようになり、演奏効果が飛躍的に上がった。 また、ガラス碗のほうが常に回っていてくれるため、奏者の腕を中心とする回転運動の負担が大幅に減少した。歩き回ったり腕を伸ばして振り回しながら各ゴブレットを奏する必要もなくなったため、奏者は精神を音楽の内面により集中させやすくなった。回転の仕組みは、足踏み式ミシンと同様の機構となっていたが、後の時代にはモーターによって代用されることとなった。
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