簡約化
簡約化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 17:10 UTC 版)
簡約化とは、直感的には多変数多項式の除算により、より次数の低い "余り" の多項式を求めていくことである。多項式 g を多項式 f で h に簡約化するとは、g 中の単項式 (monomial) から f 中の次数が最高の単項式で割り切れるものを消すことで、 g → f h {\displaystyle g{\underset {f}{{}\rightarrow {}}}h} のように表記する。1 変数の多項式であれば、x5, x4, x3, ... のように簡約化での次数の順序は簡単に決めることができるが、多変数の場合は単純に決めることができない。そのため簡約化の際には何らかの順序(項順序)を決める必要がある。グレブナー基底の理論では任意の順序を使うことができるが、一般的には以下のものが用いられる。 辞書式順序 (lex) 次数付き辞書式順序 (grlex) 次数付き逆辞書式順序 (grevlex) 以下では簡約化の例を挙げる。例えば、g = x2y3 + 3xy2 − 5x, f1 = xy − 2y, f2 = 2y2 − x2 とする。x2y3, 3xy2, 5x などが単項式である。g を F = {f1, f2} で簡約化する場合を考える。 このとき g を f1 で簡約化した g → f 1 h 1 {\displaystyle g{\underset {f_{1}}{{}\to {}}}h_{1}} は、 h 1 = g − ( x y 2 ) f 1 = − 5 x + 3 x y 2 + 2 x y 3 {\displaystyle h_{1}=g-(xy^{2})f_{1}=-5x+3xy^{2}+2xy^{3}\,} となる。また、f2 で簡約化した g → f 2 h 2 {\displaystyle g{\underset {f_{2}}{{}\to {}}}h_{2}} は、 h 2 = g − ( 1 2 x 2 y ) f 2 = − 5 x + x 4 y 2 + 3 x y 2 {\displaystyle h_{2}=g-\left({\frac {1}{2}}x^{2}y\right)f_{2}=-5x+{\frac {x^{4}y}{2}}+3xy^{2}} となる。このように簡約化には複数のやり方がある。簡約化は有限のステップで必ず終わるが、一般に結果は一意に決まらない。 以下に、簡約化についてのいくつかの表記方法をまとめる。 g が F のある要素 f で h に簡約化されることを g → F h {\displaystyle g{\underset {F}{{}\to {}}}h} で表す。 g が F のある要素 f による簡約化の有限のステップで h に簡約化されることを g → F ∗ h {\displaystyle g{\overset {*}{\underset {F}{{}\to {}}}}h} で表す。またこのようにして得られる h のことを h _ F {\displaystyle {\underline {h\!}}\,_{F}} とも書く。 また、g が F のどの要素でも簡約化できない時、g は F に関する正規形 (normal form) であるといい、簡約によって正規形を得ることを正規化という。
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