第3話 天母峰(ハーモ・サムバ・チョウ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 01:59 UTC 版)
「人外魔境」の記事における「第3話 天母峰(ハーモ・サムバ・チョウ)」の解説
中国、青海省の巴顔喀喇(パイアンカラ)山脈中に、チベット人が「天母生上の雲湖」(ハーモ・サムバ・チョウ)と呼ぶ未踏峰が存在する。揚子江・黄河・メーコン三大河の源流地帯であり、主峰は常に雲塊に囲まれていて、その高さを確かめた者はいない。この山では、外輪4山がときどきそれぞれ紅・白・青・黄に光る、という異常現象が観察される。 米国地学協会から派遣されたハーヴァード大学のダネック教授は、再三にわたる「天母生上の雲湖」遠征を行っていた。その途中、約10万年前の洪積層から、約20万年前に絶滅したはずの前世紀犀(バルチテリウム)の化石が発見された。 ダネックによる3回目の遠征の際、オートジャイロ操縦者のタマス木戸は、「大渦巻(ガロフォラ)」「見た」という謎の無電を残し消息を絶った。一方、ダネックに同行して採集を行っていた折竹孫七は、チベットと重慶をつなぐ新援蒋ルートが「天母生上の雲湖」附近を通過しているとにらみ、その遮断工作を行おうとしていた。 ダネックが遠征を中止しようとしていた矢先、デンマークのクロムボルグ紀念文化大学のケルミッシュ教授が、「天母生上の雲湖」の調査のため、ケティという蒙古型癡呆(モンゴロイド)のドイツ人女性を連れて現れた。ケルミッシュは「天母生上の雲湖」から流れてきたという草漉紙(パピルス)文書の解読に成功し、天母人を遠い先祖に持つらしいケティは、先祖返りのため「天母生上の雲湖」が音読できるという。ドイツに祖国を滅ぼされたチェコ人のケルミッシュは、「天母生上の雲湖」に亡命しようというのである。折竹はダネックを説き伏せ、ケルミッシュとケティを加えた第4回探検隊を組織する。
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