第二青函丸とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 乗り物 > > 船名 > 第二青函丸の意味・解説 

第二青函丸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/22 09:28 UTC 版)

第二青函丸
船歴
建造所 川崎造船所
起工 1929年(昭和4年)11月7日
進水 1930年(昭和5年)6月30日
竣工 1930年(昭和5年)8月5日
就航 1930年(昭和5年)9月1日
終航 1945年(昭和20年)7月14日
性能諸元(新造時)
船種 車両渡船 
総トン数 2493.01トン
全長 112.78m
垂線間長 109.73m
幅(型) 15.85m
深さ(型) 6.10m
満載喫水 3.96m
ボイラー(台数) 舶用スコッチ缶(4)
種機械(台数) 川崎式2段減速歯車付衝動タービン(2)
最大出力 2,486軸馬力
最大速力 13.93ノット
航海速力 11.0ノット
乗組員 58名
その他 12名
貨車積載数 ワム換算43両
姉妹船
船名符字 VGRM(JZJB)[1]

第二青函丸(だいにせいかんまる)は、鉄道省青函航路鉄道連絡船車両渡船であった。

建造の経緯

貨車積載能力の大きい第一青函丸就航により、青函航路の貨車航送能力は増強されたが、それにつれて貨車航送の需要も増加していった。しかし、第一青函丸ではタービンのトラブルが多く、いったん休航すると、その積載能力が大きいだけに影響は甚大であった[2]。 このため建造されたのが、第一青函丸の改良型の車両渡船第二青函丸であった。

概要

船体構造

車両甲板には第一青函丸と同じ方式で、軌道が4線敷設(船尾部のみ3線)され、各線の有効長も第一青函丸とほぼ同一で、ワム型貨車換算で43両積載できた。

第一青函丸では、荒天時の波浪で積載貨車を損傷するという問題があったため、第二青函丸では凌波性向上のため、船体を1.2m延長して全長112.78mとし、船首楼の高さも、第一青函丸の倍、甲板室2層分相当の5.2mとし、長さも17mと大型化して、積載貨車の先頭車両のみ覆う構造とした。車両甲板舷側のブルワークの高さも、第一青函丸の1.8mから、第二青函丸では船首楼と船橋楼間では3.3mに、船橋楼と船尾楼間では2.1mに嵩上げした[3]

しかし、車両甲板を覆っているのは、この船首楼以外では、第一青函丸同様、船体中央部の船橋楼と後部船橋のある船尾楼だけで、依然、車両甲板の大部分に天井はなかった。このため、降雪時の貨車積卸し作業に支障をきたすなど[4]、第一青函丸の問題点を根本的に解決することはできなかった。

船首楼が高くなった分、前方視野確保のため、操舵室が第一青函丸に比べ1層分上がり、翔鳳丸型と同じ高さに戻った。このため、操舵室直下の端艇甲板上には甲板室が新設され、船長ならびに甲板部高級船員居室が入り、遊歩甲板室には、機関部高級船員居室、無線室等が残った。また、高くなった船首楼の2階部分を低船首楼甲板と称し[5]、ここを甲板部員居室にあて、船首楼1階は第一青函丸同様、普通船員用の調理室や洗面所に、その下の第二甲板には機関部員居室が設けられた。船底は二重底となり、第一青函丸で省略されていた船首舵が復活したが、あまり使われることはなかった[6]

第一青函丸では輸入品の蒸気タービンを採用したにもかかわらず、故障が多発したため、本船では川崎造船所設計製作の、堅牢で取り扱い容易な川崎式衝動タービンを2台、ボイラーも小型の舶用スコッチ缶 4缶を採用した[3][7]

運航

第一青函丸は1日1往復半運航可能な性能を持ちながら、日々の貨車航送力の波動発生を避けるため、就航以来1日1往復の運航に留めていた。同じ速力で同じ貨車積載能力の第二青函丸就航により、1930年(昭和5年)10月1日から、この2隻で1日3往復の運航を受け持つことができ、運航効率は上がった。しかし、依然どちらかが休航した時の貨車航送力の波動発生問題は残った[8]

沿革

  • 1930年(昭和5年)9月1日-就航。
  • 1945年(昭和20年)7月14日-5時15分、函館から青森へ航行中にアメリカ軍戦闘機の機銃攻撃を受け、船長以下十数名が負傷するも船体は無事で青森港外へ到着し、補助汽船にて負傷者を下船させた。14時30分に空襲警報を受け、退避のため青森から出港しようとした時にアメリカ軍機の攻撃が始まり、車両甲板に爆弾を受けたが重大損傷なく更に左舷より受けた魚雷によって船体は船橋後部より折れ、15時30分に沈没した。乗組員65名中21名が戦死した[9]

脚注

  1. ^ 1933年1月1日から( )内の符字へ変更:古川達郎 鉄道連絡船100年の航跡p259 成山堂書店1988
  2. ^ 山本煕 車両航送p240 日本鉄道技術協会1960
  3. ^ a b 古川達郎 鉄道連絡船100年の航跡p77 成山堂書店1988
  4. ^ 青函連絡船栄光の航跡p59 北海道旅客鉄道株式会社1988
  5. ^ 古川達郎 鉄道連絡船細見p39 JTBパブリッシング2008
  6. ^ 山本煕 車両航送p244 日本鉄道技術協会1960
  7. ^ 原動機100年のあゆみp70 川崎重工機械ビジネスセンター2008
  8. ^ 青函連絡船史p197 青函船舶鉄道管理局1970
  9. ^ 青函連絡船50年史p184 青函船舶鉄道管理局1957




固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア」から第二青函丸を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から第二青函丸を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から第二青函丸 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「第二青函丸」の関連用語

第二青函丸のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



第二青函丸のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの第二青函丸 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS