突然変異の抑制と蓄積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:50 UTC 版)
「エピジェネティクス」の記事における「突然変異の抑制と蓄積」の解説
多くの生物でエピジェネティックな機構はゲノムDNA塩基配列の保守機能を果たす。たとえば、真正細菌における自己DNAメチル化と制限酵素による防御は良く知られた例であり、DNAメチル化を利用したDNAミスマッチ修復も例に挙げられる。真核生物においては、アカパンカビ・線虫・キイロショウジョウバエ・シロイヌナズナなど各モデル生物において、ゲノムDNAを防衛するエピジェネティックな機構の研究がなされている。これらの機能はゲノムの有害な突然変異を抑えるという点では有用であるが、反面、ゲノムの分子進化の元となる突然変異の発生を抑える働きがあるため、結果として進化の速度に影響を与える。生物集団レベルにおける表現型可塑性もまた、遺伝的変異を伴わずに適応性向上をもたらすことから、進化の可能性に負の影響を与えるものと推定されている。 他方では、哺乳類真獣類に特異的なDNAメチル化補助因子 (Dnmt3L) の獲得や被子植物の異質倍数体での遺伝子サイレンシングなど一部のエピジェネティック機構は、潜在的な遺伝子変異を蓄積する可能性があるため進化を促進する可能性を持つことも指摘されている。
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