社会的な位置づけと論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 16:00 UTC 版)
「日本語対応手話」の記事における「社会的な位置づけと論争」の解説
1990年代の時点では、この日本語対応手話こそが「正しい」手話だと思われていた。日本語に近いため、日本手話より社会的に上位にあり「頭のよい人が使う」ことばとされていた。口話が上手で手話付き口話ができる人は、秀才と目されて高いステータスを得られた。 ところが、1995年に『現代思想』誌上で発表された「ろう文化宣言」(木村晴美・市田泰弘)では、「音声言語を話しながら手話の単語を並べる」方法は、「二つの言語を同時に話そうとする」「所詮無理な」「中途半端な」コミュニケーション法であると痛烈に批判し、ろう者を「日本手話という、日本語とは異なる言語を話す、言語的少数者である(8ページ)」と定義したうえで、日本手話と書記日本語のバイリンガル教育の重要性を論じた。 「ろう文化宣言のように文化言語モデルを強調し、日本手話とシムコムとに分類する考えは、新しいろうあ運動が今まで取ってきた「聴者との連帯」路線とその帰結としての「ろう者と聴者との共通語としての手話観」を真っ向から否定するものであった(p. 86)」。その結果「経済的不利を受けている聴者との連帯を重視しようとする考えと、ろう者の言語的独自性の方に重きを置こうとする考えとの間に激しい議論が起きるようになった(p. 112)」。
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