相当温位と気象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/22 06:38 UTC 版)
相当温位は性質上、気温が高いほど、また湿度が高い(=水蒸気量が多い)ほど、大きくなる。気温・湿度ともに高度が高くなるほど低下するため、大気を長期的に観測してその平均をとれば、相当温位は高度とともに減少する。しかし、実際の大気では、中層への暖湿流の流入や、下層への乾燥大気の流入などの移流によって、不均一な状態になることが多く、時に逆転することがある。 大気の鉛直構造、つまり大気の上下方向において、相当温位が高度とともに減少する割合(逓減率)が大きいほど、大気は不安定になる(対流不安定度・潜在不安定度が増す)。これは、相当温位の大きい大気ほど上昇する力(ポテンシャル)が強いためである。 乾燥断熱過程、湿潤断熱過程(凝結した水が空気塊の中に保存される)において、相当温位は保存される。偽断熱過程(凝結した水が降水分離によって空気塊から取り去られる)において、相当温位は保存されない。つまり、雨を降らせたり気温が変化したりしない限り、大気の相当温位は保存されるので、相当温位を観測すれば乾燥大気や暖湿流の移流が推定できる。これを利用して、相当温位の時間-高度分布図を用いて集中豪雨を解析する手法がある。
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