監査役の起源・理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 14:49 UTC 版)
株式会社の業務監査をどのように行うか(またはどのような立場の人間が担うか)についてはさまざまな制度設計が考えられる。もっとも原始的な監査制度としては、出資者であり会社の所有者である株主自身がそれにあたることが考えられるが、所有と経営の分離という現象を踏まえると、株主に多くを要求することは適切ではない。次に、業務の執行にあたる取締役同士の相互監視(取締役会制度や旧共同代表取締役制度)によることが考えられるが、業務執行の効率性を損なったり仲間意識のため必ずしも有効に機能するとは言いがたい。そこで、第三者的立場から、会社の業務執行を監査する立場の役割を担う機関(監査役)が必要とされることとなる。 株式会社においてどのような機関構造をとるべきか、という問題は、業務執行の監督制度をどのように構築すべきか、という問題と重なり合うものである。世界的な潮流としては、取締役会(およびその委員会)により監督を行う法制(アメリカ等、単層型)、取締役会を監査役会によって監督する法制(ドイツ等、二層型)とがあるとされる。中にはフランスのように、単層型と二層型の2種類の機関構造を選択できる法制も存在する。日本においては、従来は一層型を前提として取締役会が業務執行の監督を担いつつ監査役によって(人事権を伴わない)適法性監査を行うという制度のみであったが、委員会等設置会社制度(当時)の導入によりアメリカ型のより執行と監督を分離した制度をとることも選択可能になった。さらに、会社法ではより柔軟な機関構造を選択できるようにもなり、現行法では非公開会社(かつ大会社でない会社)などでは監査役を設置しないこともできる。
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