王権の神
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 18:24 UTC 版)
エンリルはシュメール統治にあずかる最高神としてイメージされており、領域国家の時期および統一国家確立期には王権を授与する神としてとらえられている。ただし、都市国家分立の時代や統一国家形成期における王権を授与する神はむしろイナンナであった。すなわち、都市国家分立の時代(イナンナ)→領域国家の時期(エンリル)→統一国家形成期(イナンナ)→統一国家確立期(エンリル)という交代がみられ、そこには、安定した統治を願う時代にはエンリル、拡張主義の時代にはイナンナという区別が認められる。 王権授与の役割を持つエンリルに任命を受けることで、各都市の王や統治者はその正当性を示すことができるため、王に敵対することはエンリルに敵対することとイコールであり、敵対者は大いなる秩序の破壊者としてみなされた。秩序の破壊者を討ち取ることも当時の王たちの務めであったとされ、多くの侵略戦争はエンリルの名の下で行われたという。
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