物質輸送を介してアストロサイト周辺の様々な条件を調節する機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/14 03:44 UTC 版)
「アストロサイト」の記事における「物質輸送を介してアストロサイト周辺の様々な条件を調節する機能」の解説
近年になって注目を集めている機能であり、最近の研究のほとんどはこの機能に関するものである。 tripartite synapse これは前シナプス、後シナプス、グリア細胞間には密接な関係があり、三つの細胞で一つのシナプス機能を担うという考え方である。たとえば、前シナプスから放出されたグルタミン酸をグリアが回収し、シナプス伝達の効率の上昇に寄与しているなどの役割がある。アストロサイトの細胞膜上には他にもATP, GABAなどの神経伝達物質の輸送体が発現している。またグルタミン酸やATPをCaイオン系を通して小胞依存的に放出する。 また、近年の研究ではアストロサイトの終足が接触しているシナプスは安定性が高いという結果もある。 細胞外イオン濃度調節 アストロサイトはカリウムイオンチャネルを高く発現している。ニューロンが活性状態にあるときアストロサイトはカリウムを放出し、局所的に濃度を上昇させる。またアストロサイトはカリウム透過性が高く、過剰分を急速に除去する。 エネルギー面における緩衝作用 グルコースを主な原料としてグリコーゲンを貯蔵・合成する。特に前頭皮質と海馬にあるアストロサイトは、ニューロンが消費するエネルギーについて緩衝作用を持つと考えられている。 オリゴデンドロサイトの髄鞘形成活性の増進 ニューロンの活性化によりアストロサイトはATPを放出するが、このATPがアストロサイト自身に対し、サイトカインであるLIF(leukemia inhibitory factor)という、オリゴデンドロサイトの髄鞘形成活性を促進する調節タンパク質の放出を促す。
※この「物質輸送を介してアストロサイト周辺の様々な条件を調節する機能」の解説は、「アストロサイト」の解説の一部です。
「物質輸送を介してアストロサイト周辺の様々な条件を調節する機能」を含む「アストロサイト」の記事については、「アストロサイト」の概要を参照ください。
- 物質輸送を介してアストロサイト周辺の様々な条件を調節する機能のページへのリンク