無風区とは? わかりやすく解説

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むふう‐く【無風区】

読み方:むふうく

波乱形勢変動がなく、実施前から当選者落選者の別が確実視されている選挙区


無風選挙

(無風区 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/27 08:47 UTC 版)

無風選挙(むふうせんきょ)とは、当選者と落選者が最初からはっきりしていると見られている選挙のこと。

概要

当選枠分が有力候補ですでに埋まり、他候補が泡沫候補のみの場合、無風選挙になると見られる。自分たちの一票で当落が変わるという状況になりにくく、事実上の信任投票という認識が広がるため、投票率は低くなりやすい。無風選挙になると見られる選挙区は「無風区」と呼ばれる。

小選挙区制では、閣僚や党要職にある大物政治家の選挙区で、無風選挙が発生しやすくなる。

参議院二人区では、二大政党制が進むと第一政党候補と第二政党候補が当選しやすくなり、二大政党が1人ずつしか候補を擁立しない場合はその他の候補が当選することが難しいことが多く、無風選挙になりやすい。

地方自治体首長選挙では、与野党相乗りの現職が再選を狙って立候補すると、対立候補は相乗りしない一部野党や諸派などの候補となり、無風選挙になることが多い。

選挙速報をしているテレビ局が、投票終了直後の開票速報で出口調査等に基づいて当選確実を報道をするケースもある。

無風選挙と見られるからといって、有力候補が全く選挙運動しない訳ではない。当選することは当然として、得票数や得票率をできるだけ高めようと努める。これは、多くの有権者の支持を集めた結果、当選後の議員活動において、政治力・影響力・発言力が増すからである。

同様に落選が確実な候補者にとっても、有力候補に対する実質の「不信任票」を得ることと、特定政党の支持者の割合を調べるのが目的なので、議会での発言権を増し、相乗り候補に対抗できるとしている。有権者に有力候補への不満があるのに、対抗馬が立候補しない(あるいは、有力候補の圧力で出馬を断念させられた)場合には、いわゆる泡沫候補が予想外の善戦をすることもある。

無風選挙の例

無風選挙を測る指標として、ある選挙における次点候補者の惜敗率(ある選挙の最下位当選者の得票を1として、次点候補者の得票の割合)を求める。次点候補の惜敗率が低いほど無風選挙状態といえる。

衆議院選挙

衆議院の無風選挙
順位 選挙区 最下位当選者 次点候補 惜敗率
候補者名 得票 候補者名 得票
1位 1959年補選 北海道第1区(2) 高田富與 133,632 西館仁 4,869 3.64%
2位 2009年 栃木県第3区(1) 渡辺喜美 142,482 斎藤克巳 7,024 4.93%
3位 2024年 鳥取県第1区(1) 石破茂 106,670 朝倉浩之 12,389 11.61%
4位 2003年 愛知県第11区(1) 古本伸一郎 181,747 串田真吾 21,179 11.65%
5位 2021年 広島県第1区(1) 岸田文雄 133,704 有田優子 15,904 11.89%
6位 2004年補選 鹿児島県第5区(1) 森山裕 115,820 竪山勲 16,029 13.84%
7位 2012年 神奈川県第11区(1) 小泉進次郎 184,360 林公太郎 25,134 13.63%
8位 2012年 鳥取県第1区(1) 石破茂 124,746 塚田成幸 17,550 14.06%
9位 2000年 熊本県第4区(1) 園田博之 149,156 若城浩史 21,028 14.10%
10位 2017年 神奈川県第11区(1) 小泉進次郎 154,761 瀬戸和弘 21,874 14.13%
11位 2003年 山口県第4区(1) 安倍晋三 140,347 小島潤一郎 21,202 15.11%
12位 2012年 神奈川県第11区(1) 小泉進次郎 184,360 林公太郎 25,045 16.12%
13位 2012年 山口県第4区(1) 安倍晋三 118,696 財満慎太郎 19,336 16.29%

参議院選挙

参議院の無風選挙
順位 選挙区 最下位当選者 次点候補 惜敗率
候補者名 得票 候補者名 得票
1位 1951年補選 富山県選挙区(1) 館哲二 245,372 巴陵宣正 18,691 7.62%
2位 1970年設選 沖縄県選挙区(2) 稲嶺一郎 194,510 下里恵良 20,264 10.42%
3位 2022年 富山県選挙区(1) 野上浩太郎 302,951 京谷公友 43,177 14.25%
4位 2013年 富山県選挙区(1) 堂故茂 328,631 高橋渡 51,569 15.69%
5位 2019年補選 埼玉県選挙区(1) 上田清司 1,065,390 立花孝志 168,289 15.80%
6位 1953年補選 青森県選挙区(1) 笹森順造 204,289 大沢喜代一 33,446 16.37%
7位 1955年補選 島根県選挙区(1) 佐野広 252,443 加藤一郎 42,552 16.46%
8位 1963年補選 福岡県選挙区(1) 小宮市太郎 196,706 安部正 87,744 17.67%
9位 2022年 山口県選挙区(1) 江島潔 327,153 秋山賢治 61,853 18.90%
10位 1992年 新潟県選挙区(2) 大渕絹子 376,580 村田和男 72,541 19.26%
11位 2004年 茨城県選挙区(2) 郡司彰 477,948 田谷武夫 94,837 19.84%
12位 2007年 宮城県選挙区(2) 愛知治郎 359,099 加藤幹夫 71,689 19.96%
13位 2022年 和歌山県選挙区(1) 鶴保庸介 283,965 前久 57,522 20.25%
14位 1953年 青森県選挙区(1) 佐藤尚武 294,422 大久保弥三郎 59,657 20.26%
15位 2004年 栃木県選挙区(2) 矢野哲朗 332,513 野村節子 69,044 20.76%
16位 2007年 福島県選挙区(2) 森まさこ 372,857 宮本しづえ 78,237 20.98%
17位 2013年 群馬県選挙区(1) 山本一太 580,144 加賀谷富士子 123,725 21.33%
18位 2001年 和歌山県選挙区(1) 世耕弘成 319,080 木村文則 69,186 21.68%
19位 2004年 広島県選挙区(2) 亀井郁夫 493,817 岡本三夫 108,288 21.93%
20位 1947年補選 岩手県選挙区(1) 川村松助 228,726 小林美代 50,242 21.97%

都道府県知事選挙

都道府県知事選挙の無風選挙
順位 知事選挙 当選者 次点候補 惜敗率
候補者名 得票 候補者名 得票
1位 1986年 香川県知事選挙 平井城一 208,213 阿部孝 6,314 3.03%
2位 1980年 岡山県知事選挙 長野士郎 436,086 熊一良 14,965 3.43%
3位 1955年 熊本県知事選挙 桜井三郎 612,006 尾藤新士 27,037 4.42%
4位 2018年 福島県知事選挙 内堀雅雄 650,982 町田和史 35,029 5.38%
5位 2025年 山形県知事選挙 吉村美栄子 318,364 金山屯 17,794 5.59%
6位 1963年 茨城県知事選挙 岩上二郎 816,388 宮田裕信 49,581 6.07%
7位 2019年 鳥取県知事選挙 平井伸治 225,883 福住英行 14,056 6.22%
8位 1976年 岡山県知事選挙 長野士郎 460,737 高田巌 29,490 6.40%
9位 1951年 山口県知事選挙 田中龍夫 644,760 久保田敏 42,074 6.53%
10位 1951年 三重県知事選挙 青木理 645,007 遠藤陽之助 44,763 6.94%
11位 1952年 富山県知事選挙 高辻武邦 399,771 巴陵宣正 28,017 7.01%

関連項目

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