炭酸と雨水
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 14:23 UTC 版)
大気中の二酸化炭素 (0.033 %) が溶け込んだ水の pH は 5.6 である。通常の雨水は二酸化炭素で飽和状態になってはいないため、大気汚染物質がなければその pH は 6 前後である。工場などから排出された二酸化硫黄などの酸性酸化物が溶け込み、二酸化炭素で飽和した雨水よりpHが低下したものは酸性雨と呼ばれる。雨のpHはチョークや石灰岩などの炭酸塩鉱物に影響し、様々な地形を作り出す。岩石に含まれる炭酸カルシウムと二酸化炭素が溶解した水の間には、以下のような平衡が成り立っている。 CaCO 3 + CO 2 + H 2 O ↽ − − ⇀ Ca ( HCO 3 ) 2 {\displaystyle {\ce {CaCO3\ +CO2\ +H2O\ <=>\ Ca(HCO3)2}}} ( CaCO 3 ( s ) + CO 2 ( aq ) + H 2 O ( l ) ↽ − − ⇀ Ca 2 + ( aq ) + 2 HCO 3 − ( aq ) ) {\displaystyle {\ce {(CaCO3(s)\ +CO2(aq)\ +H2O(l)\ <=>\ Ca^{2+}(aq)\ +2HCO3^{-}(aq))}}} これにより、水が入りこんだ断層線付近の地下洞窟が浸食されることがある。また水が蒸発したり、二酸化炭素の溶解度が低下したりすると炭酸カルシウムが再結晶し、鍾乳石や石筍を形成する。チョークからなる帯水層からくみ上げられた水は多量の炭酸カルシウムが溶解しており、「硬水」と呼ばれている。
※この「炭酸と雨水」の解説は、「炭酸」の解説の一部です。
「炭酸と雨水」を含む「炭酸」の記事については、「炭酸」の概要を参照ください。
- 炭酸と雨水のページへのリンク