溶質と濃度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 07:58 UTC 版)
アポプラスト液の無機イオン濃度は数mMである。特にカリウムイオンとカルシウムイオンが多い。次に多いのはリン酸、マグネシウムイオン、ナトリウムイオンである。アポプラストには無機イオンのほか、有機物も溶解している。これらイオンの濃度は通常、それぞれ一定の範囲に維持されている。 カリウム濃度はアポプラスト採取法で5-10mM、K+電極を用いた方法で数十µMと報告されている。細胞壁のカルボキシル基には相当量の陽イオンが結合していると思われているため、アポプラスト採取法ではカルボキシル基結合イオンも測定されている可能性がある。 アポプラスト液の濃度調節はあるpH範囲では主に細胞壁のカルボキシル基によって調節されている。他のpH範囲では細胞膜での輸送(細胞への取り込みと細胞からの排出)と、維管束系からの供給と転流が主要な濃度維持機構である。アポプラスト液と比べてシンプラスト液は非常に濃く、シンポプラスト液からの輸送はイオン濃度を高効率で変化させる。 リン酸濃度の調節は細胞内の液胞によって行われている。液胞はリン酸を蓄積し、必要な都度、リン酸を放出する。シンプラスト液のリン酸濃度は厳密に維持されており、アポプラスト液濃度もシンポプラスト液ほどではないが維持されている。大麦の葉では液胞のリン酸濃度が約10mM以上では、培地中のリン酸濃度に関わらずアポプラスト液濃度は1-2mMに維持される。
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