湿球温度計の読み取り値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/20 04:25 UTC 版)
湿球温度は、球部を湿ったガーゼで包んだ温度計によって測定される。このガーゼは毛細管現象を利用して常に湿った状態に保たれる。このような温度計を湿球温度計(あるいは乾湿計の湿球)と呼ぶ。通常は気化熱により乾球温度より低い温度を示すが、空気中の水蒸気が飽和状態である場合は乾球温度と一致する。 湿球温度計は次の条件下で熱力学的湿球温度を示す。 ガーゼが周囲と放射による熱交換をしないように遮蔽されていること 蒸発した水蒸気がガーゼからの蒸発に影響を与えないようにするため、空気は速やかにガーゼ周辺から流れ去ること ガーゼに供給された水の水温は空気の熱力学的湿球温度と同じ温度であること 通常の手順で測定した場合、次のような理由により、湿球温度計の読み取り値は熱力学的湿球温度とは若干異なる。 ガーゼは放射による熱交換から十分に遮蔽されていない 空気の流量が理想とされる流量よりも少ないことがある ガーゼに供給される水温が制御されていない 相対湿度が100%より低い場合、水は球部から蒸発して周囲の気温以下に球部を冷やす。相対湿度を決めるには、普通の温度計を使って周囲の気温も測定するのだが、この温度計は「乾球温度計」と呼ばれることが多い(乾湿計を参照)。周囲気温がどのような値であれ、相対湿度が低いほど、乾球温度と湿球温度の差は大きくなる(湿球温度の方が乾球温度よりも冷たい)。測定した湿球温度と乾球温度を湿り空気線図上で見つければ正確な相対湿度が分かる(複雑な計算によって求めることも出来る)。 乾湿計は湿球温度計と乾球温度計の両方を具えた測定器のことである。 湿球温度計は黒球温度計(黒球温度は周囲の熱輻射の影響を示す)と組み合わせて使われることもあり、湿球黒球温度の計算に用いられる。
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