渦糸の運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/10 15:44 UTC 版)
「非線形シュレディンガー方程式」の記事における「渦糸の運動」の解説
流体の渦運動が柱管の形状である時、渦管と呼ばれる。特に渦管の半径が無限小と見なせる場合、渦糸と呼ばれる。1972年に日本の流体力学者橋本英典は、渦糸の運動において、局所誘導近似と呼ばれる近似の下、非線形シュレディンガー方程式が導かれることを示した。ある一本の曲線で表される渦糸の運動を考え、渦糸上の点xの運動を表す座標系として、フレネ=セレ標構 を取る。このとき、ある渦糸上のある原点から測った渦糸の弧長をsとすると、時刻t での座標系はx(s, t )及び接線ベクトルt(s, t )、法線ベクトルn(s,t )、陪法線ベクトルb(s, t )で表される。ある点における速度場は、周囲の渦糸の運動から誘起されるが、局所的な近傍のみからの影響を受けると仮定すると、局所誘導運動方程式 ∂ ∂ t x ( s , t ) = c κ ( s , t ) b ( s , t ) {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial t}}{\boldsymbol {x}}(s,t)=c\kappa (s,t){\boldsymbol {b}}(s,t)} が導かれる。但し、κは曲率であり、c は定数項である。時間変数t を適当にスケール変換すると、 ∂ ∂ t x ( s , t ) = κ ( s , t ) b ( s , t ) {\displaystyle {\frac {\partial }{\partial t}}{\boldsymbol {x}}(s,t)=\kappa (s,t){\boldsymbol {b}}(s,t)} とすることができる。 ここで、曲率κ及び捩率τから ψ ( s , t ) = κ ( s , t ) exp ( − i ∫ 0 s τ ( s , t ) d s ) {\displaystyle \psi (s,t)=\kappa (s,t)\exp {\bigl (}-i\int _{0}^{s}\tau (s,t)ds{\bigr )}} という量を導入すると、これは次の非線形シュレディンガー方程式を満たす。 i ψ t + ψ x x + 1 2 ( | ψ | 2 + A ( t ) ) ψ = 0 {\displaystyle i\psi _{t}+\psi _{xx}+{\frac {1}{2}}(|\psi |^{2}+A(t))\psi =0} ここで、A (t )は任意関数である。A (t )の項は、ψの中に、 ϕ = ψ exp ( − i 2 ∫ 0 t A ( t ) d t ) {\displaystyle \phi =\psi \exp {\bigl (}-{\frac {i}{2}}\int _{0}^{t}A(t)dt{\bigr )}} という位相の形で取り込めば、消去することができる。
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