法人税と税収
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:24 UTC 版)
「法人税パラドックス」とは、実効税率を引き下げるによって、逆に法人税収は増加するという現象を指す。 伊藤元重は「欧州諸国は法人税の法定税率を下げてきたが、税収は減少どころか増加傾向さえ見せている」と指摘している。伊藤元重は、欧州の法人税収の増加の要因として、 企業収益が改善 政府が法人税率引き下げと同時に行った課税ベース拡大 法人税率の低下によって個人企業などが法人成りし、税金を所得税ではなく法人税で支払うようになった の3つを挙げている。 伊藤元重は「法人税率を下げていっても、課税ベースを拡大すれば、法人税収が減ることはない。場合によっては、増える可能性もある。そのためには、法人税率を下げると同時に、課税ベースを広げることを検討すべきである」と指摘している。伊藤は「ドイツのように法人税率を下げると同時に他の減税措置を縮小(課税ベースの拡大)した国もあるが、そういった措置のないまま、税率引き下げたにもかかわらず経済成長が法人税収の伸びにつながっている国もある」と指摘している。 経済学者の大竹文雄は「景気回復が偶然生じたという効果を除いて、法人税減税によって法人税収が増えたという効果が、どの程度あるのかについてははっきりしていない。法人税パラドックスが観察されない国も存在しており、その一つが日本である。1990年代に日本の法人税は低下と同時に法人税収も減少した」と指摘している。
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