汗薬師の伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 08:39 UTC 版)
地名の由来になったという説のある満願寺の薬師如来坐像には、次のような伝説がある。 「 昔々、鬼怒川のほとりに老齢の父と娘が住んでいた。ある日のこと、周囲が止めるのも聞かずに、父は薬師堂境内の弁天沼で大きなコイを獲って食べてしまった。その夜、父は七転八倒して苦しみ、失明した。娘はこれを祟りだと思い、毎日父の手を引いて薬師様に助けを乞うた。何のご利益もないまま満願の日を迎え、娘は薬師様の名号を唱えて就寝すると、家を光が照らし、「お前の信心と孝心を讃えて父の目を直してやろう。その代わりに弁天沼のほとりに家を建て、薬師様と弁天沼を守りなさい。」という声が聞こえた。夢から覚めた娘は驚いてすぐに弁天沼で身を清め、薬師様にお参りすると、薬師様は汗をいっぱいにかいて、娘を笑顔で見つめた。娘が家に帰ると、視力が戻った父が朝食の準備をしており、娘は昨晩の夢を父に話した。自らの業の深さを知った父は生涯をかけて薬師堂を守った。 この話を聞いた村人は、毎日薬師様へお参りに訪れ、「フザカシ」という地名に「汗」の字を宛てた。 」 仏像が汗をかくという伝説は日本各地にあり、気温の変化によって結露が生じたというのが、汗をかく像の真相である。薬師如来坐像は現存するが、秘仏とされ、通常は公開していない。2014年(平成26年)に新たな住職が着任した際には、58年ぶりに開帳された。
※この「汗薬師の伝説」の解説は、「東汗」の解説の一部です。
「汗薬師の伝説」を含む「東汗」の記事については、「東汗」の概要を参照ください。
- 汗薬師の伝説のページへのリンク