母への恐怖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 03:30 UTC 版)
「エドワード7世 (イギリス王)」の記事における「母への恐怖」の解説
母ヴィクトリア女王が長きにわたって在位したため、60年にもわたって皇太子だった。 彼は子供の頃から両親に出来が悪いと評価され、50歳代になっても母から公務に関わることを許されなかった。ヴィクトリア女王は「無能」な息子が自分より長生きしないことを祈ってさえいたという。 彼は皇太子時代を通じて母の影に怯えながら暮らした。52歳の時、ある晩餐会に遅刻し、身体を小さくしながら自分の席へ向かおうとしたが、はるか正面席の女王から鋭い一瞥をされ、震えあがり、自分の席まで行けず、しかし帰るわけにもいかず、柱の陰で立ち尽くしたということがあったという。エドワードは「私としては永遠なる父に祈りを捧げるのは別にかまわない。しかし英国広しといえど、永遠なる母に悩まされているのは私だけだろう」と述べたことがあった。 ヴィクトリア朝を代表する二人の対称的な首相、ベンジャミン・ディズレーリとウィリアム・グラッドストンは女王・皇太子への接し方も対称的だった。女王に忠実なディズレーリは「皇太子に伝令の写しを送ることを拒絶はしないが、その場合にはそれほど重要ではない文書を送るように」という女王からの指示に従って、エドワードに重要な書類を見せなかった。対して女王との関係が悪いグラッドストンは様々な機密文書を女王に無断でエドワードに見せていた。エドワードもグラッドストンに深く感謝し、グラッドストンの葬儀に際しては恐らく初めて母の意思に反する形で彼の葬儀に出席している。
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