次数付き準同型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/05 11:07 UTC 版)
「次数付きベクトル空間」の記事における「次数付き準同型」の解説
一般の添字集合 I に対する I-次数線型空間の間の線型写像 f: V → W が次数付き線型写像であるとは、それが斉次元の次数付けを保つとき、すなわち f ( V i ) ⊆ W i ( ∀ i ∈ I ) {\displaystyle f(V_{i})\subseteq W_{i}\quad (\forall i\in I)} を満たすときに言う。次数線型写像のことを、次数線型空間の間の準同型または射とも、あるいは斉次線型写像とも呼ぶ。 係数体および添字集合を固定して考えるとき、次数付き線型空間の全体は次数線型写像を射として圏を成す。 I が可換モノイドであるときには(たとえば自然数の集合 ℕ のときはそう)、より一般に任意の i ∈ I に対する斉次性を f ( V j ) ⊆ W i + j ( ∀ j ∈ I ) {\displaystyle f(V_{j})\subseteq W_{i+j}\quad (\forall j\in I)} なる条件によって定義することができる。ここで "+" はモノイドの演算とする。さらに I が消約性を満足し、したがって適当な可換群に埋め込めるときは(たとえば自然数の集合 ℕ のときはそう)、I の生成する可換群 A の任意の元 i を次数として斉次線型写像を同じ式(ただし "+" を A の群演算として)で定義できる。とくに、任意の i ∈ I に対し、(−i)-次の斉次準同型は f ( V i + j ) ⊆ W j ( ∀ j ∈ I ) {\displaystyle f(V_{i+j})\subseteq W_{j}\quad (\forall j\in I)} で定義される。ただし、j − i が I に入らないときには f(Vj) := 0 とする。 線型空間からそれ自身への線型写像全体が自己準同型環と呼ばれる結合多元環を成すのとまったく同様にして、次数線型空間上の斉次自己準同型全体は(次数をモノイド I に制限しても、群 A の元となることを許しても、それぞれで次数付けられる)結合的な次数付き多元環を成す。
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