極端な体格の差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 02:05 UTC 版)
体格の差が極端に大きく、もはや同種とは思えないほどになる例もある。特に有名なのが造網性のクモで、コガネグモ科やヒメグモ科などのものでは、同じ種とは思えないほどに形も違っているものがある。日本の例では、最も差が大きいのはおそらくオオジョロウグモで、雌は体長35-50mmにもなるのが、雄は10mm程度にしかならない。また、キジロオヒキグモでは、卵嚢から出た時点で、雄は既に成熟している。これがどのような配偶システムに繋がっているのかは定かでない(ちなみに徘徊性のクモはあまり雌雄の体格差がなく、雄は雌よりやや華奢な程度である)。 それよりも差が大きい場合、雄はもはや雌に見られるような体の構造を持たず、はるかに簡単な仕組みだけを持つ例もある。そのようなものを矮雄(わいゆう)という。ちなみに、雌ではこの例はない。雌は卵を産むからには、そこまで小さくはなれないということであろう。 ワムシ類にも雄が小さくて簡単な構造を取るものがある。これらの動物では単為生殖が発達しており、雄は見られない場合が多い。特殊な条件下でのみ雄が出現する。この場合の雄の体は生殖に特化している場合が多い。2005年に初めて発見されたカイミジンコの雄も、幼生と見間違えられる姿であった。この類もそれまでは単為生殖のみが行われると考えられていた。 さらに極端なのが、雄が雌に寄生しているものである。脊椎動物ではチョウチンアンコウの仲間にそのような例があり、雄は雌の体表にかみついたような姿で固定され、寄生生活をしている。類似の例がユムシ類のボネリムシや節足動物の甲殻類の一部、コケ植物の一部にも見られる。 節足動物甲殻類の寄生性蔓脚類の場合、雌が寄生性で、その上に矮雄が寄生しているものもあり、雄は重寄生していることになる。
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