オオジョロウグモとは? わかりやすく解説

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大女郎蜘蛛

読み方:オオジョロウグモ(oojorougumo)

コガネグモ科クモ

学名 Nephila maculata


オオジョロウグモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/18 15:26 UTC 版)

オオジョロウグモ
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: クモ綱 Arachnida
: クモ目 Araneae
亜目 : クモ亜目 Opisthothelae
下目 : クモ下目 Araneomorphae
上科 : コガネグモ上科 Araneoidea
: ジョロウグモ科 Nephilidae
: ジョロウグモ属 Nephila
: オオジョロウグモ N. pilipes
学名
Nephila pilipes (Fabricius 1793)

オオジョロウグモ Nephila pilipes (Fabricius 1793) はジョロウグモ属のクモで、日本で最大のクモと言われる。

特徴

円筒形の体に細長い足を持つ大型のクモ。体長は雌で50mm、雄では7-10mm[1]。日本最大のクモである[2]

雌は頭胸部は方形に近く、やや平ら、全体に黒だが、表面に細かい金色の毛を密生している。歩脚は細長く、ほぼ黒く、節ごとに先端部が黄色くなっているが、個体によってははっきりしない。腹部は前方がやや幅広い円筒形で、前端、後端は丸い。全体に黒っぽく、前端に幅広い横向きの白班、そこから後方に細い縦筋の白班が多数はいる。ただし色彩には変異が大きく黒色型、赤色型、黒色黄条型などが知られる[3]。腹面も黒で、多数の黄色などの水玉模様がある。歩脚は強力で黒くて長く、また細かな毛が密生しており、第1脚と第4脚が長く、第2脚、第3脚は短い[4]

雄は7-10mmにしかならない。これはジョロウグモの雄とほぼ同大であり、雌に比べると、とても小さい。雄は全体に雌を小さくしたような形ながら、全体に褐色で、はっきりした斑紋などは見られない。ただし幼生の時期には雌と同様に白地に3本の縦線が見られる[5]

習性

人里から山野に生息し、あまり都市部には見られない[6]。樹間や草の上に直径1-1.5mほどの網を張る[7]。網は地上50cm位から3m位の高さに張り、ジョロウグモのそれに似ているが、やや網の目が粗い[8]。網の本体はジョロウグモと同様に馬蹄形円網[9]である[10]が、ジョロウグモのような前後の補助網を持つ三重網でなく、後方にだけ補助網をつける[11]

大型なだけに捕らえる獲物も大きいものが含まれ、鳥がかかることもある[12]

生活環

年一化性で、6-10月に成熟する[13]。小野、緒方(2018)では成熟の時期を6~11月といい、更に石垣島では4月に雄成体が記録された例があるとのこと。

産卵期は7~10月[14]。産卵は地上で行われる。雌成虫は産卵時には地上に降り、地表の凹みに卵嚢を作ると、落ち葉等でそれを覆い隠す[15]。沖縄本島での記録では1個の卵嚢中の卵数は1500~2000個に達し、10月頃には子グモが卵嚢より出てくる[16]。幼虫はそのまま越冬し、4月から6月にかけて急速に成長して成熟する。

分布

日本では薩南諸島以南の南西諸島全般に分布し、国外の分布は広く、台湾中国ニューギニアオーストラリアにかけて知られる[17]

分類、類似種など

本種はジョロウグモ N. clavata と同じくジョロウグモ属に含まれる[18]。この属には世界に約30種が知られるが、日本にはこの2種のみが知られる。この2種は体型などは似ているが斑紋や色彩はかなり異なる。それぞれ成長に従って斑紋が変わり、また変異の幅もあるが、それを知っていれば判別は容易である。その他に混同するようなものはない。

利害

網の糸が目に入るとかぶれることがある[19]

本種は雌では3gに達するものがあり、タイラオスニューギニアなどで食用とされたことがあるといい、生食、あるいは塩焼きにしたという[20]

出典

  1. ^ 以下、主として岡田他(1975),p.375
  2. ^ 小野編著(2009) p.404.
  3. ^ 小野、緒方(2018) p.518.
  4. ^ 佐藤編(2003) p.288.
  5. ^ 小野編著(2009) p.404.
  6. ^ 新海(2006)、p.182
  7. ^ 新海(2006)、p.182
  8. ^ 佐藤編(2003) p.288.
  9. ^ おおよそは円網だが網の上の方で折り返して横糸を張ることで上の位置に横糸の切れ目が出来ており、横糸の張られた範囲の形が上に口の開いた馬蹄型となっている。
  10. ^ 小野、緒方(2018) p.518.
  11. ^ 新海(2006)、p.182
  12. ^ 佐藤編(2003) p.288.
  13. ^ 佐藤編(2003) p.288.
  14. ^ 小野、緒方(2018) p.518.
  15. ^ 佐藤編(2003) p.288.
  16. ^ 以下も小野、緒方(2018) p.518.
  17. ^ 小野、緒方(2018) p.518.
  18. ^ 以下、小野編著(2009) p.403-404.
  19. ^ 佐藤編(2003) p.288.
  20. ^ 佐藤編(2003) p.288-289.

参考文献

  • 小野展嗣編著、『日本産クモ類』(2009)、東海大学出版会
  • 小野展嗣、緒方清人、『日本産クモ類生態図鑑』(2018)、東海大学出版部
  • 岡田要他、『新日本動物図鑑 〔中〕』第6版、(1975)、図鑑の北隆館
  • 佐藤仁彦偏、『生活害虫の図鑑』、(2003)、朝倉書店
  • 新海栄一、『ネイチャーガイド 日本のクモ』、(2006)、文一総合出版


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